2013年 直島特別例会
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◆酒井 千歳(岡山政経塾 十二期生)
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岡山政経塾 直島特別例会レポート
『感情を大いに刺激される旅』
【はじめに】
「見る・聞く・体感する」、「考える力を身につける。発想の転換をする」岡山政経塾、直島・犬島・豊島合宿が梅雨明け前の7月6日、7日に開催された(私は、1日目の夜から参加した)。参加にあたり、事前に事務局長より「アートとは何か」という問題提起を与えて頂いた。アートとは・・・作品を通じて、見る側(受け手)の『感情(喜怒哀楽)』を刺激し、何らかの影響を与えてくれるものなのでは・・・と自分なりに考えながら直島行きの高速船に乗り込んだ。
【犬島】
2日目の朝、まずは犬島へチャーター船で移動。瀬戸内海の青と、晴れ渡った空の青!最高に気持ちが良い!船内でも贅沢なアートを味わえた。直島から移動すること1時間弱。精錬所跡の煙突が聳え立つ犬島に初上陸。犬島では精錬所・家プロジェクトを見学。精錬所美術館では温度、湿度までもが作品となっており他には無い切り口のアートを味わえた。また、館内では住民の方(70代のおばあちゃん)が作品案内や島の歴史を語っておられ、その話と生き生きした姿にも私は引き込まれた。かつては、精錬所で活気のあった島も、現在は人口47人、最年少65歳、商店も1件のみとのこと。失礼な言い方かもしれないが、この島は近い将来、住民はいなくなり自然に帰っていく、そんな島だったに違いない。そこに、この島にしか無いものに着目し、価値を付け、発信し、今、島全体がアートとなって世界中からのたくさんの観光客が押し寄せている。
発想力の力を感じた。
【豊島】
『希望と欲望が共存している島』だった。まるで日本の縮図を見ているかのようだった。島の豊かな自然の恵みをこれでもかというくらいむしり取り、その後は大量の産廃を持ち込んだ。人間の究極のエゴ。産廃の現場を目の前にして
怒りが込み上げた。テレビのニュースや新聞で、豊島のことは知っていたけれど、正直「大変そうだな・・・」ぐらいの温度感。感情は動かなかった。しかし、今回、実際に現場に足を運び、自分の目で見て、話を聞くことで、感情が大きく動く。大量消費、大量廃棄を許す社会は今も続いている。そんな社会や自分自身の在り方を見直そうだなんて、ここに来ていなければ感じられなったこと。
その後、バスで島内を移動。段々畑、空と海、それに溶け込むように建つ豊島美術館が見えてくる。豊島美術館では体全体で光、風、音を感じ・・・五感が研ぎ澄まされるのを感じた。そして、日に焼けた温かい笑顔のおばあちゃん。ゆったりと寝そべっている猫の家族。島内を歩いていると、さっきまでの怒りとは対照的に、とてもシンプルで穏やかで純粋な気持ちになっていた。
【まとめ】
犬島、豊島ではアーティストの作品だけでなく、島の風景や歴史、そこに住む人の暮らしに出会い、感じることが多くあった。感情は大いに刺激され、自分自身と向き合う時間だった。更に、人類の過去・現在・未来と時間の流れも感じ、考える機会となった。
「アートとは何か」の問いに対して、明確に答えることは、今もできないが、たくさんのアートを前にして、日常生活では味わえない自分の『感情の起伏』が妙に心地いいな・・・次に訪れたらどんなことを感じられるのだろう・・・と考えながら島を後にした。
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