2003年 直島特別例会

 
◆妹尾 映理子(岡山政経塾 二期生)

「直島合宿に行って」



 今回の直島合宿は私にとって、かなり有意義で意味のある合宿であったと思う。こんな機会を与え下さった幹事の方々、事務局の方々、そして大変お世話になったベネッセハウスの方に心から感謝している。

 私は、例会担当塾生として、本当に貴重な体験をしたと思う。大まかな計画と去年の経験があったとはいえ、一つ一つを話し合って決めていくのも、大人数の大人を一泊させるのもこんなに大変とは思わなかった。ベネッセハウスに電話しても、最初は、全く規定の時間どおりで思った通りにはいかず、予定も変更に継ぐ変更。直前でも日程の変更。各々別の職業を持っているので、仕方がない事だとは思うが、出席・欠席の確定というのは、計画を進める上で、一番重要なことだと思う。例会担当塾生として気付いた点、次回に生かして頂きたい点を上げておきたいと思う。
・ 出欠を確認ではなく、確定する事。
・ 宇野港では車はあまり停められないので、計画的に乗りあって行く事。
・ 講師の先生方の話し、質疑応答は延長することを見越して、講演と次の予定の間の時間を長めに取っておく事。
・ 講師の話は録音しておくことを検討していただきたい。
・ 直島合宿で初めての分科会ではなく、直島で話し合う事を事前に決めておく必要がある事。
・ 食堂で、食事中に伝達があるのであれば、マイクを使用させていただく事。
・ ベネッセハウスの方に大変お世話になるので、連絡を早めに詳しくして、細かく連絡を取る事。
・ 松下政経塾生の研究内容、活動などを事前に知っておく事。
 私が上に挙げた点以外にも改善すべき点は、あるかもしれない。その年の合宿ごとに改善していき、年を追うごとに素敵な合宿にしていって頂きたいと思う。



 今回の合宿では、三人の講師の方々のお話を聴かせて頂く事ができた。三人の講師の話はどれもが興味深く、大きな一つのことを三つの違った視点から捕らえていたと思う。それは一言で言うと、「生きる事の意味を自分で見つける事」だと思う。いかにより良く生きるか。私は、現在進行形で、今現在も生きているにもかかわらず、その事を自覚していない瞬間の方が多い。何気なく時間が過ぎていって大人になり、老いていって死ぬ、そんな人生は絶対に避けたいと強く思う。こんな国民でいっぱいの日本には住みたくないと思うのである。この状態を打開そして改善する道を今回の三人の講演で少し学び得ることが出来たと思う。

 まず安藤忠雄氏だが、「考える子どもを育てる」と提言されていた。今の日本人は、長く考える事を放棄していた。知識はあるが、判断力がない。人がつけた価値をお金で買おうとする。本当の豊かさとは何か。自分が生きていく感性をみがいているか。
 これらの言葉を聞いた時、自分の事を言われているようで耳が痛かったが、やはり、今の教育に問題があり、センター試験をはじめとする受験制度・学歴重視社会に、メスを入れなければならない必要性を改めて実感した。

 次に福武幹事の話だが、「常識を疑え」と提言されていた。私にとっては革命的な言葉だ。でも日本の常識は世界では非常識になる事もある。同じように、マナーを守れば今の慣習を変える事というのは必要であると思う。極端に話を繋げるとセンター試験を受けなければ国立大学に入れないという「常識」を破る必要性は多いに考えられる。疑うべき常識は、世にあふれているのだと思う。また、現代美術に関して、色々な物事を見る目を養うために必要である、と言われていた。安藤氏も言われていたことだが、芸術作品にふれ、「これは何だろう」と思う。「何だろう?」この興味の始まりが大切なのだと思う。この「何だろう?」という気持を教育の現場でどう生かすか。機会をどう与えるか。興味をどう育てるか。興味ばかりを優先させて、学力が落ちないか?興味ある分野を勉強させることで、日本のビルゲイツが生まれるのだろうか?と考えが色々出てくるので、ここはこれから始まる分科会で勉強したいと思う。

 最後に石井県議の話だが、この話は豊島の老人方に感動した。自分達の島をゴミの島から救いたい。子孫に誇ってもらえる島にしたい。長い時間と莫大な資金をかけても解決させようとしたその姿勢に感銘を受けた。「自分で物事の原因を調べて、解決に向け考え行動する」私たちはこの姿勢に学ばなければならないと思う。
 
 分科会では、自分の考えの浅さに情けなさいっぱいであった。何をしたいのか、何を勉強したいのかがまとまらなかったが、松下政経塾の方たちの知識や、一期生の方たちの助言のおかげで、意義のある話が出来たと思う。そこで出てきた話だが、「子どもが、殺さない・死なないためにどうすればいいのか」という疑問が出た。ちょうど、中学一年の生徒による四歳児誘拐殺人事件があったばかりだったからだ。「人を殺さないための教育」が必要になるとは本当に悲しい現実だなと思った。
 
 私は知識もあまりないし、視野も狭いと思う。でも今回の合宿で多くのことに気付き、学んだ。そしてよく考えた。この経験を生かして、これから始まる分科会をがんばっていきたいと思う。二期生の仲間達と共に考え、成長していきたいと思う。