2003年 直島特別例会
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◆金川 敏治(岡山政経塾 二期生)
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直島合宿レポート
この合宿で多くの人と出会うことができたと思う。三人の講師の方々や、松下政経塾の塾生の皆さんとの交流は私に多くのものを学ばせることになった。安藤先生は建築家として、福武先生は企業のトップとして、石井先生は政治家といった様に三人の講師の方々は社会の中でそれぞれの「仕事」において輝かしい業績を挙げられ有名になった方々ばかりであった。
安藤先生は戦後の日本人の生き方を「どうやって生きるか」、「戦後復興を果たすこと」を目的とした進歩であったと捉え、物質的に飽和状態になった今、日本人は当初の目標を達成し、生きる目的を失っている。将来的には移民を受け入れるといった思い切ったことも視野に入れつつ、新しい方向性を持たなければならないということを「建築」というご自身の仕事をもとに話してくださいました。
福武先生の講演からは文化を通じて「生きる力」について考えていく中に、物質的豊かさを求め続けた結果、目標を失ってしまった日本人の精神的復興の鍵があるのではないかということを学びました。福武先生のお話もさることながら、それを実現しようと試みた美術館のスケールの大きさに驚きました。作品一つ一つのなかにある製作者の芸術的メッセージ性だけではなく、作品も含む美術館の存在自体が、すべての日本人に「未来の在り方」というメッセージを提案しているように思いました。
石井先生は豊島の産業廃棄物問題にどの様に取り組んできたかについてのお話でしたが、例え地方の問題であっても、マスコミ等を使って世論を動かし中央省庁を動かしていかなければならないという政治の現実を知ることができました。また、豊島問題の解決を通じて「いち住民」として率直な気持ちから政治家になった石井先生は、今の多くの政治家を「職業」的とするならば、先生は「職人」的政治家のように感じた。
私がこの合宿を通じて考えていきたいと思ったことは、「働くこととは何か」ということである。今後も様々な仕事をされている講師と出会うことになり、多様なテーマについて考えることになると思うが、「社会の中で自分は何をすべきか」といったことも頭の片隅に置きつつ学習していきたいと思う。
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