岡山政経塾 チーム21

 

◆◆個性と魅力を活かした活性化策◆◆


「おわりに」


 岡山政経塾チーム21の活動は、今回で3年目となる。1年目は「岡山市中心市街地」、2年目は「外環状線エリア」と特定の場所を絞り込み、それぞれの提言をした。この2年で重点に置いていたテーマは、固定した地域の「活性化」であった。
 今回は、地域を特に絞り込まず、「岡山の魅力と個性」に着目し、岡山県内の良いところ、可能性を秘めている分野に、改めて光を当てた。その魅力を活かして個性を伸ばし、岡山を「活性化」する提言を示し、その先にある「岡山の魅力と個性の発信」の必要性と可能性を訴えている。議論を進めるにあたり、それぞれのテーマに合わせて3つの分科会を設定した。その分野に特化し、より深く議論する中で提言を創り出している。
 
 観光・文化分科会では、岡山の魅力を取り上げていくうちに、私たちの知らない魅力がたくさんあることに気付いた。このエネルギーに溢れる岡山を県外の人に発信し、知ってもらう事、触れてもらう事で岡山から日本を元気に出来るのではないか。魅力ある文化、賢人による知恵と工夫を次世代へ伝えると共に、コミュニティツールとして人と人とが触れ合う街。そして「新たな工夫を考え、あるものを活かし無いものを創る」を根源に、地域と人のつながりで活性化していく、未来に向けての提案をまとめた。

 医療・福祉分科会では、歴史を振り返る過程で、岡山の医療・福祉の「多様性と先進性」を強く感じた。中山間地域での医療格差を払拭し、満足度の高い地域医療のあるべき姿を示し、障害者や高齢者など社会的弱者、子育てに至るまで、福祉の発展と可能性を見出している。そして、医療・福祉は、未来の魅力ある地域を「まちづくりの視点」から考え、その地域の住人が、喜びを持って生きていく事を重視し、今を生きる私たちが為すべきことを提言している。
 
 産業・環境分科会では、岡山県児島のジーンズに着目し、ジーンズの魅力、ジーンズ業界に携わる経営者や業界関係者の熱い思い感じることができた。将来の岡山のジーンズ産業としての可能性をもっと追究する必要がある。また、太陽光発電については、環境への対策の遅さを感じた。将来必ず来る自然と資源の危機に、政治・行政の未来へ対応と反応が鈍い。地域に根付いた産業、地域の特色を活かした産業に着目し、経済対策の選択肢のひとつとして、疲弊した地域経済の活性化に一矢報えると感じた。

 日本の文化は、近隣諸国や欧米からの影響を受けているとはいえ、日本特有の発展や進歩を遂げてきた。日本のそれぞれの地域の魅力と個性から生み出された、固有の文化の集合体が、日本の価値観や心の豊かさを創り出している。
 今回の論文は、それぞれの分科会やテーマごとに、文化や歴史を通し過去に触れ、現状や問題点を直に感じ、未来の提言へと展開してきた。その中で岡山のあらゆる角度から地域問題を考えていくうちに、私たちは、その問題の当事者であることを強く感じた。それまで心のどこかで良くならないのは、政治や行政などに原因や責任を押し付けいたのかもしれない。
 現在、経済不況や人口減少など財政的に厳しい地方行政は、地域活動や社会生活に対して、補助金をばら撒くことはできない。政治は、地域の目的をデザインし、地域に住む人がコミュニティ活動の主体となり、行政はその活動をサポートする。もう、誰かのせいにできない世の中にしなければ、問題は解決しない。政治・行政・企業・住民など、すべての立場において責任を感じ、責任を負い、責任を果たす岡山の構築が必要である。
 
 私たちは、この活動の中で、改めて岡山の素晴らしさを再発見し、岡山に対しての愛着、誇りを感じることができた。そして、岡山で生活をする私たちは、今回の提言を活かし、岡山の未来に対しての役割と責任を果たしていきたい。
 
 2011年 春
   2011年度 岡山政経塾チーム21