2019年5月 
 丸亀商店街視察

-活気溢れる商店街には理由があった-

岡田 康男 (岡山政経塾 18期生)

1.序論
 丸亀町商店街視察の前に比較対象として5月6日に坂出の商店街を含めた駅前の散策を行いました。

ゴールデンウイーク最終日であるにも関わらず、9割近い店がシャッターを下ろしており、通行人らしき数人とすれ違っただけで、肝心の客はほとんどいないように感じられました。数少ない、開いている店内を覗いてみても、中には客どころか店員すら見当たらないような雰囲気でした。
所謂、このシャッター街と揶揄される商店街の現状は、坂出だけでなく地元岡山や倉敷の商店街でも程度の差こそあれ、同じ状態に陥っていると言えます。


商店街が寂れる一番の要因として挙げられる坂出駅前のイオンモールの様子も見てきました。
こちらは商店街の客を取り込むことで栄えているのかと思いきや、予想と反して客はまばらで、テナント募集のスペースが多く、飲食店も一か所しかありませんでした。飲食店でうどんを注文し、店員にイオンの近況を尋ねたところ、近い内に坂出のイオンは閉店をするとのことでした。
大型ショッピングモールの出店により商店街が寂れ、そのショッピングモールまでもが閉店するとなると、この坂出駅前周辺に住んでいる人達は、その後どうやって生活をしていくのでしょうか。

坂出市は香川県で3番目に人口の多い市です。人の往来の少なさだけが寂れた原因だとは思えません。この問題の解決策を高松丸亀町商店街視察により学びたいと思います。

2.本論
 JR高松駅から歩く事10分強で、目的地の丸亀町商店街に到着しました。

 まず目に入ったのが人の数。開店したばかりのショッピングモールのような人の往来があります。シャッターが下りている店もなく、賑わいと活気があり、先日の坂出とは真逆の状態であることが一目でわかります。

 その次に気付いたことはアーケード(天井)の高さです。

 一般的な商店街は2階建ての建物の上にアーケードがあるのに対し、3階から4階くらいの高さにアーケードがあります。これが商店街を明るく広く見せることが出来、また建物の2階や3階をテナントとして活用することにも大きく貢献をしているようです。

お店自体もルイヴィトン、ティファニー、コーチと言った一流ブランド店が広場を囲うように軒を連ねており、商店街というより大型のショッピングモールの中にいるような錯覚を受けます。

そこで一つ大きな疑問が生じました。自分の中での商店街という概念は、商店密集地の道路にアーケードを設置しているというものに対し、この丸亀町商店街はアーケードを先に設置してから、それに合わせて店やビルが建っているとしか思えなかったからです。単なる偶然で一流ブランド店が交差点を囲うように店を構えていたとは考えられません。つまり商店街なのにショッピングモールと同じく意図的に計画された店配置になっていることに気が付きました。

 しかし商店街をショッピングモールのようにするためには大きな課題があります。ショッピングモールの場合はデベロッパーが土地全体を買い、建物全体の構図から考えて建てるので、どのようにでも店を配置することは可能ですが、商店街には複数人もの地主がいることが前提なので、1人の地主が反対をしただけでも計画が頓挫してしまいます。しかし古川理事長のお話しを聴くことで疑問点は全て解消しました。


3.結論
 古川理事長のお話しによると、複数の地主が土地をまちづくり会社に60年間貸す定期借地権を結ぶことで、土地全体を一括管理するという方法を用いて、商店街を華やかなショッピングモールのようにしていたのです。

 しかもショッピングモールでは再現できないものがこの商店街にはあります。

 それはこのように商店街のアーケードより上部に人が住んでいるのです。居住者は主に高齢者の方々で、建物内には診療所や保育園等、生活に必要な施設が商店街の中に揃っているのです。居住地と商業地が一体化することで、地方であるにも関わらずクルマを必要としないコンパクトシティが出来上がっていました。
 
 古川理事長曰く「自分が歳をとった時に住みたい町にしたい」との思いから、寂れた商店街を活気あふれる商店街へと変貌させました。ここには書ききれないほどのノウハウをご教授して頂きましたが、今も発展途上であると満足することない姿勢に感銘を受けました。この度は本当にありがとうございました。