岡山政経塾 チーム21
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◆岡山市中心市街地の現状と未来への取り組み◆
〜市民の声から〜
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第二章 取り組むべき現状と課題、そして未来のための対策
第3項
6期生 春名 宏司
(1)市民が求めている西川緑道公園の現状と課題
この項では、平成19年に発表された岡山市の都市ビジョンで描かれた「水と緑が魅せる心豊かな庭園都市」という将来像において、中核となる西川緑道公園について現状と課題を考察する。
1.西川の歴史
西川の歴史を紐解くと、原型はかんがい用水として使用されていた平安時代にさかのぼり、現在の場所に水路が整備されたのは約400年前の慶長年間である。当時は城下町の人々の飲み水や生活用水として利用されていた。
現在、西川は旭川の合同堰から水を取り入れ、岡山市街下流の農業地帯に水を供給する全長16kmの水路である。
この西川用水は、土水路であったため漏水が激しく、昭和40年代に改修工事が行われた。
当時の日本は高度成長期に入り、全国の都市では都市化の進展の際、車社会が受容され、機能性を追及するあまり水路などの水面や敷地をせばめたり、埋め立てたり、暗渠にしたり水辺の価値を喪わせることが行われていた時代であった。
西川沿いも同様に、水路にふたを架けて、幅35mの道路に改良する計画が持ち上がった。
しかし、当時の岡崎平夫岡山市長(昭和38年5月〜昭和58年4月在任)は、「緑と花・光と水」のまちづくりを政策理念として提唱し、都市に利便性と水辺を活かした自然との共生を目指していた。西川を車道にするという計画に反し、車道を廃止し、西川沿いに緑地や歩行者空間に当てる緑道公園の整備の発表を行った。
これに対し、地元住民から反対の声が上り、調整の結果、両側に一車線ずつ車道が残る現在の形の、岡山市街中心部を流れる西川・枝川沿いの約2.4kmに昭和49年から9ヵ年をかけて西川・枝川緑道公園が整備された。(第1期・昭和51年完成、枝川・昭和55年完成、上流・昭和58年完成)
西川緑道公園は、土木建築的側面から見て、都市河川や水辺空間のモデルとして第1回緑の都市賞・建設大臣賞、第3回美しい都市づくり賞・経済同友会賞、都市景観大賞(都市景観百選)の受賞など全国から高い評価を受けてきた。
2.西川緑道公園の現状と課題
「緑と花・光と水」のまちづくりの理念の元、市民の憩いの場として整備された西川緑道公園を取り巻く環境は、第1期の完成から30年以上経った現在、時代の変化と共にどのように変化しているのか。
私たちが行った世論調査において(問5)「西川緑道公園の活用はどのようなものを望まれますか」の質問に対し、質問の内容にそぐわない不満の意見もあるが、その他の選択肢において出た市民の意見は以下の通りである。
【歩道の整備】
・歩くことを前提に歩道を整備すべきである 2
・上流のブロック敷はハイヒールでは危なくて歩けない
【観光・PR】
・境港妖怪ロードのように道を歩いてもらえる工夫をする
・西川自体を注目すべき(例)水車ロードの再生 それ自体が、観光スポットになる西川ロード作り
・西川と下水を分離した事で水質が良くなったことをPRして、これを利用出来る事を考える
【イベントの開催・おしゃれな雰囲気作り】
・デートできるような雰囲気作りにする
・世代を超えて誰もが安心して憩える空間にする
・高知市の日曜市や高山の朝市のように市場やイベントを定期的に行う 3
・屋台を並べる
【周辺店舗の充実】
・両脇道路の店舗を増やす
・こだわりの専門店を増強 歩いて楽しいショップ
・オープンカフェをつくる
・上等な果物を使ったスイーツの店をつくる
【公園に対する不満】
・公園として狭くて通りにくい
・人が歩いていない
・見通しが悪く、不潔で暗いイメージがある 外灯を明るくしてほしい 4
・ホームレスが近づかないように安心で明るいイメージにしてほしい
・トイレの整備・清掃の徹底
・公園内にゴミステーションがあるのはおかしい
【その他】
・ジョギング施設の配置
・西川キャンドルナイトが好き
・市民に任せる
・日替わりでよいから考えられるものをやってみる
・ホームレスが仕事できるイベントの開催
・ホテル街にする
・不必要
・潰して大型百貨店を作る
・利用しない
・西川の一部が禁煙エリアになった為、全く利用しなくなった 以前は読書や待ち合わせに適していた
世論調査で得られた市民の意見を、大きく6つに分類すると歩道の整備、観光・PR、イベントの開催・おしゃれな雰囲気作り、周辺店舗の充実、公園に対する不満、その他の意見に分かれた。
これらの市民の意見は、今現在、西川緑道公園の求められている姿また現状を現している。
市民が求めている西川緑道公園については次の第3項Aにおいて詳しく述べることとする。
先ほど西川緑道公園の整備の経緯に触れたが、ここで西川緑道公園とはどのような魅力を持った公園なのか触れていきたい。
西川緑道公園は中心市街地を南北に通る「水と緑の回廊」で、市民に癒しを与える水辺のオープンスペースである。
緑道は、単に緑道として植栽を適当に配置したというものではなく、「水と緑」の全体構成は一貫しているが、各ブロックで空間構成に特徴を持たせ、上流部からパーゴラ、水上テラス、水上公園、石柱、岩組、石張りテラス、噴水広場、鯉だまり、彫刻の森、カスケード、ほたる沢などが整備され、歴史的背景や地域との関わりを強調しつつ、「人」にも着眼した憩いの場として「親水空間」を創造し、かなり完成度の高い水辺空間の再生が成されている。
既存の柳を活かすといった川面に映る緑への視点が感じられること、川面側の植栽より車道側との距離を考えた植栽を多くし、開放感とともに閉鎖的な「公園」の雰囲気を演出していること、開発幅員が限られた事もあるが、肩と肩とが触れ合う程度の通路がかえって「人と人との触れ合い・コミュニケーションの場」としての効果を高めている。
また環境面からも、ヒートアイランド現象の緩和や都市の環境保全、都市災害の防止、大気の浄化、生態系の生息環境の確保など大きな役割を担っている。
この緑豊かな公園は中心市街地にありながら、喧騒を離れ、心休まる憩いの場として、また遊歩道として親しまれている。
それでは、西川緑道公園への行政の取りくみはどうなっているだろうか。
岡山市は平成18年4月より西川緑道公園を、政令指定都市を目指す岡山市のまちづくりの重要な骨格とするため、もう一度原点に立ち返り、そのあり方を市民の目線で見直すため、西川・枝川緑道公園再整備・市民懇談会(8名の有識者が委員)を設け、平成19年1月に提言書を取りまとめた。
その中で、西川・枝川緑道公園再整備・市民懇談会は西川緑道公園の未来図を以下のように掲げた。
(1) 「歩けるまちづくり」の起点
(2) 「水と緑のネットワーク」の起点
(3) 「まちなかの魅力的空間」のモデル
提言書の中では、我々の世論調査の中の市民の声と同様な意見が述べられている。
そして整備から30年以上経ち、樹木の成長で緑道内の空間が暗く見通しが悪いこと、遊歩道が狭まるなど歩きにくさが指摘され、歩行者も減っている現実を受け、平成20年10月よりモデル区間に定められた桃太郎大通りからあくら通りまでの約550mの再整備に着工した。再整備の内容は、以下の通りである。
目 的:来春の全国都市緑化おかやまフェアの協賛会場となるための歩きやすさを重視した再整備
整備内容:桃太郎大通り近くは公園の玄関口と位置付けブロックを敷き詰め る
川を東西両側から眺められるようにする
東側は植栽を減らし、遊歩道を拡幅
西側は車道の幅を狭め、歩道を新たに整備
150m南の野殿橋周辺はイベント広場とし、板張りデッキを設け、水辺に近づけるようにする
故障中の花時計は撤去し、同橋南に新設する
高さ3,9mと高木より低い街路灯約30基を追加し、暗がりを減らす
再整備の終わった下石井公園と一体感を持たせるため、同公園前の車道を蛇行させるなど車の進入を抑える
園内のバリアフリー化
市民提案共同事業としてフラダンス、ファッションショー、バンド演奏、特産物販売、オープンカフェなどを計画
平成21年3月3日現在、以上の工事はほぼ完成しお披露目を待つ状態である。整備された桃太郎大通りからあくら通りまで区間は、広く綺麗になり、歩きやすくなった印象を持った。
平成21年3月より開催される全国都市緑化おかやまフェアの協賛会場として、気持ちよく利用できる環境になったといえる。
しかし、西川緑道公園には、まだいくつかの問題が存在する。
1つ目は、市民の関心の低さ、利用者の少なさという現実である。
世論調査の中で、(問4)「中心市街地の活性化のために何が必要か」という選択式の中で、「西川緑道公園の活用」という選択肢は、9つの選択肢のうち、(その他は除く)下から3番目の11%の支持であった。
同じく(問3)「中心市街地の活性化のために何が必要か」と(問8)「中心市街地は、岡山の個性と魅力発信のために何が必要だとお考えですか?」のフリーアンサー項目の中で、(問3)は、399件中2件、(問8)は、278件中2件しか西川緑道公園に関する意見は無く市民の関心は低いと言える。
そして、西川緑道公園が完成した昭和51年当時に比べ岡山市民の自動車保有台数が約5倍(約54万台)と増え、世の中が車中心の社会となった現在、住宅地や商業施設の郊外化が進み、街の中心機能は分散してしまった。そのため、中心市街地の人口は減少し、同時に西川緑道公園の利用者も減少していった。しかし、近年、コンパクトシティーの概念の元、中心市街地にマンション建設が増え、人が戻ってきている。そういった状況にかかわらず、西川緑道公園の利用者が増えていない。
2つ目は、西川緑道公園の景観が損なわれている問題である。
桃太郎大通りより北の上流エリアに限定されるが、放置自転車が野ざらしにされ、設置されたゴミ箱、灰皿からはゴミや吸殻が溢れ散乱していていた。
この上流エリアは、ベンチが多く比較的車通りも少なく静かな環境であることから、正午過ぎには公園内で昼食をとるなどの利用が一番多いエリアである。 しかし、岡山市の玄関口の市民の憩いの場所として存在するこの公園に、放置自転車が野ざらしにされ、ゴミは散乱している状況で利用者は気持ちよく利用できる状態とはいえない。もちろん、このゴミは利用者から出されていることも考えられるので、ゴミ箱の設置自体が必要かどうかという問題である。また、放置自転車に対して早急な対応と未然に防ぐ手段が必要である。
また、西川緑道公園内及び西川緑道公園沿い道路には22のゴミステーションが存在する。同じくこのことは、西川緑道公園の景観を損ね、公園を気持ちよく利用できることを妨げるものであるといえる。
西川緑道公園のゴミに対する問題は、景観を守るという観点に立ち、根本から考えないといけない問題であるといえる。
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ゴミステーション |
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ゴミが散乱したゴミ箱と放置自転車 |
3つ目は、西川緑道公園は後楽園や旭川とのつなげる発想がなく、孤立してしまっていることである。
元々、西川緑道公園には他エリアと連携すると言う発想がなかった。しかし、岡山市で一番の観光地である後楽園に訪れた方に、西川緑道公園も利用してもらえるように告知したり、同じ水辺空間である旭川と連携を持たせる事は、西川緑道公園の利用者を増やすことにつながり大きな財産になると考えられる。
また、ウォーキングコースとして西川緑道公園と後楽園や旭川とつなげる提案があれば、それぞれの魅力を知り両方の価値が高まるものと考えられる。
次に西川緑道公園沿いの道路を隔てた店舗・施設を含めた西川緑道公園エリアについてとその人通りについて触れていきたい。
西川緑道公園の周辺の店舗は3エリアに分けると、桃太郎大通りより北の上流エリア、桃太郎大通りからあくら通りまでのエリア、あくら通りから旧2号線までのエリアと分かれる。
上流エリアは駅前商店街と交わり、通り沿いには岡ビルを中心に焼肉店、喫茶店などの飲食店などがある。このエリアは昔ながらの店が軒を連ねていると言った感じでどちらかというと年配の方が多く通るエリアである。
桃太郎大通りからあくら通りまでのエリアは下石井公園・あいプラザを中心に、飲食店、若者向けのファッション店、ブティック、美容院、ビジネスホテル、病院などがある。
このエリアは若者向けの店舗が多く、人通りの多い県庁通りと交わる事から西川緑道公園沿いの通りの中では一番人通りの多い通りとなっている。
あくら通りから旧2号線までは、歓楽街となり雑居ビルや飲食店がある。こちらのエリアは夜になると賑わいを見せ始めるエリアである。
しかし、全体的に見ると岡山市の中心市街地としては西川緑道公園沿いの通りは人通りが多いとは言えないのが現状である。
西川緑道公園の周辺の店舗は、個人商店の集合であり、それぞれの集客力に限界があり、やはり核となる店舗・施設がないという印象を受けた。
因みに近年、若者の間で流行となっているカフェと呼ばれる飲食店は西川緑道公園沿いには一軒しか存在しない。
西川緑道公園は、岡山市の都市の魅力を支える素晴らしい公園であることは間違いないが、その魅力の発信、周辺の施設・店舗との連携、後楽園などの観光地との連携が無ければ、宝の持ち腐れとなってしまう。
岡山市の財産であるこの西川緑道公園を最大限に活かす為には、このエリア全体に人が集まるために何が必要か、時代と市民や観光客の求めに応える事ができる施策を考え実行しなければいけない。
人通りが生まれる事で、賑わいが増して行き、新しい店舗が次々と進出し、
更に外部にまで発信できるエリアにするためには何が必要なのか、第3項(2)で述べていきたい。
(2)魅力に溢れる西川緑道公園の活用策について
第3項(1)では、西川緑道公園の現状と課題について触れたが、西川緑道公園の魅力の発信、周辺の施設・店舗・後楽園などの観光地との連携を行い、このエリア全体に人が集まる施策を考え実行しなければいけないと結んだ。
この人が集まる施策とはどういったものであろうか。
街づくりを考える時に、街に強い魅力と求心力を持たせ、満足度を高める為には、次の3つが必要であると考える。
1.魅力ある拠点を作る
2.回遊ルートを作る
3.人の流れを作る
中心市街地の中心に位置するこの西川緑道公園周辺の活性が新たな拠点となり、岡山駅周辺と表町商店街周辺を中継点としてつなぐ回遊ルートとなり、中心市街地全体に活性に?がる、人の流れを作るものになると考える。
このことを踏まえ、再び世論調査の結果に基づき市民が求めている西川緑道公園の活用のあり方について考察する。
世論調査において西川緑道公園についての設問の内容は次の通りである。
(問5)「西川緑道公園の活用はどのようなものを望まれますか?」に対し、
「フリーマーケットや音楽祭などのイベントの開催」が29.7%、「市民の憩いの場とする」が21.7%、「文化の発信や農産物の販売など観光客を呼べるエリアにする」が18.8%、「両脇の道路を歩行者専用にする」が13.0%、「現状でよい」が11.6%、「その他」が5.2%であった。
まず、29.7%と一番支持があった意見は「フリーマーケットや音楽祭などのイベントの開催」であるが、18.8%の支持の「文化の発信や農産物の販売など観光客を呼べるエリアにする」も同じくイベントの開催という要素を含むものだと考えると、西川緑道公園を最大限に活用するための市民に一番の声であるといえる。
また、(問3)「さらなる中心エリアの活性化のために、何が必要ですか?」や(問8)「中心市街地は、岡山の個性と魅力発信のために何が必要だとお考えですか?」のフリーアンサー回答の中にも場所は特定されていないがイベントを開催すると言う意見や、物産展の開催、文化の発信という意見も多くあった。
西川緑道公園において様々なイベントが、以前からも行われてきたが、その開催頻度は各イベントが年に1回という程度であったため、興味のある人には浸透はしてきているが、いつでも誰もが参加できると言う形にはなっておらず長期的で見れば賑わいまでには繋がっていないと思われる。
現に、世論調査においてイベントの開催という意見が多かった背景には、過去のイベントの浸透不足という側面も表れていると考える。また、フリーマーケットは数年前から、開催されておらずその再開を待ち望む声と言える。
我々は、西川緑道公園及び中心市街地の活性化のためのイベントの開催は、毎月ならびに隔月の定期的な開催を理想とする。
全国各地においても、町おこしの名目で、地域の独自色を重視したイベントが催されている。しかし、その大半が、お祭としての一行事に過ぎず、1日過ぎれば、元の風景に戻るような断片的な取り組みが目立っている。
我々は、過去のような一過性のものではなく、継続性がありいつでも誰でも参加できるイベントの開催こそが西川緑道公園の、中心市街地の活性につながるものと考える。
イベントの開催に相応しい場所を挙げるとあくら通り沿いの下石井公園であるだろう。西川緑道公園の中間に位置し、岡山駅と表町商店街周辺ともほぼ中間地点にあたるためお互いからのアクセスも良く人の流れを作りやすい。
イベントを行う上で、前提となるのは13.0%の支持を得た「両脇の道路を歩行者専用にする」という意見である。
西川緑道公園沿いの道路は、非常に交通量が多い。ここで、もし下石井公園でイベント開催中に車の通行があったなら、下石井公園と西川緑道公園は車の流れに遮断され、一体感を持つ事ができない。
イベント開催中は全域の車両進入禁止が望ましく、全域を歩行者天国にし、車道も出店スペースに当て賑わいを一箇所にとどめない事が必要である。
イベントの内容は、例えば音楽祭であれば、西川緑道公園内に客席を設け、水辺の風景に溶け込みながら音楽に耳を傾けるような、参加者の心に残り、西川緑道公園という立地を最大限活かしたイベントを提案する。
また農産物など販売に関しては、農産物に限らず岡山市内はもちろん、県内各地の物産を集めた物産店として開催し、岡山の文化の発信、岡山の物産に関する受付嬢の役割を果たすことを期待する。
ここで、参考にするのは京橋の朝市、高知県の日曜市である。
京橋朝市は、平成元年より岡山市京橋町の京橋で毎月の第一日曜日に開催され、現在255回目を数える朝市である。
町おこしのために京橋近隣の町内会が事務局を作りボランティアで始めたこの朝市は、現在では約80店が軒を連ね、日の出より売り切れご免で賑やかに行われる。販売される商品は、魚介類、農産物、日用雑貨と多彩で、見ているだけでも楽しめる。また、食事が出来る店も出店されている。5月と10月にはイベントが行われ、特に10月は全国朝市となり全国の有名朝市の参加があり、一番の賑わいを見せる。
次に、高知市の日曜市は、高知城下に伸びる追手筋約1.3kmに渡り約500店が軒を連ねる街路市である。その起源は元禄3年(1690年)といわれ、約300年の歴史を持つ。全国の街路市はそのほとんどが朝市である中、この日曜市は珍しい日の出から日没まで開催される終日市の形を取る。
販売される商品は、農産物が中心だが、骨董品、動物、植木や苗、衣料品など種類の多い。各店には、出店者の氏名・住所が掲げられた札があり、高知市内外から出店者が集まる。
買い物客は高知市内、近郊住民が中心であるが、観光客も多く訪れ観光資源としても認知されている。
京橋朝市は町おこしから始まり、こつこつと開催を積み重ね、今や岡山市内外の方に、第一日曜は京橋朝市と認知され、安定した集客を得られ、その名は県外にまで広がる観光資源に育て上げている。
また、高知市の日曜市は、歴史は古く伝統的であり、出店者も多く、多様な出品物から買い物客の信頼を得て、高知市民には、なくてはならないものであり続けている。そして同様に、その名は全国に知れ渡り、高知市を訪れる観光客は必ず立ち寄る観光資源として人の流れを作り出している。
この2つの街路市を参考に、西川緑道公園での物産展は、岡山市内外の物産が集まり、ここに来れば、安くて新鮮なものが揃っていると言う評判が発ち、岡山市民の利用はもとより観光資源に昇華するような取り組みが必要である。
以上のような形で、定期的にイベントを開催し、西川緑道公園に来れば、何か面白い事をやっていると市民が認知し、そして積極的に関わり、西川緑道公園を魅力ある拠点に育てていくことが、中心市街地の活性に繋がるものと考える。
次に、21.7%の支持があった「市民の憩いの場とする」という意見は、西川緑道公園の整備時の理念でもあり、目的に立ち返ることを求める意見だといえる。
ここでも、前提となるのは13.0%の支持を得た「両脇の道路を歩行者専用にする」という意見である。
現在、桃太郎大通りからあくら通りまでの区間で再整備が終わり、憩いの場としての機能が以前に比べ充実したと考えられるが、ここで根本的な疑問が頭をよぎる。
それは、桃太郎大通りからあくら通りの区間の再整備は、両脇に自動車道を設けた今の西川緑道公園の形を前提とした再整備が行われたが、本当にこの形が市民の憩いの場と呼べる形なのかという疑問である。
岡山市が掲げる都市ビジョン「水と緑が魅せる心豊かな庭園都市」の中核としての西川緑道公園の姿としては、実に中途半端な印象を受ける。
また、西川・枝川緑道公園再整備・市民懇談会掲げた西川緑道公園の未来図
の一つである“「歩けるまちづくり」の起点”という観点からも、今のままで本当に歩けるまちの起点と呼べるのかと考えてしまう。
つまり、西川緑道公園の最大の改善点は、両脇の道路を通る自動車の問題を解決する事、両脇の道路を潰し、歩道を拡げることにあると考える。
歩行者専用道にすることにより、歩行者は対自動車においての安全面を、一切心配することなく歩行できる。
そして、岡山市の都市ビジョン「水と緑が魅せる心豊かな庭園都市」の中核として、西川・枝川緑道公園再整備・市民懇談会が掲げた“「歩けるまちづくり」の起点”として全く矛盾がなく、機能することができる。
また、西川緑道公園の構造上の問題で、両脇の道路を通る自動車から公園内を分離するために整備されていた高い生垣が必要なくなり、全ての歩行者が西川の川の流れと一体になれ、見通しがよく、安心して歩ける緑道公園になるといえる。
重ねて、今まで西川緑道公園沿いにあった店舗も、今まで以上に西川緑道公園と一体感が増すことにより、その雰囲気にあった店舗が増え、文字通り歩いて楽しい街づくりの拠点となるといえる。
そして、スペース的に可能であれば、西川緑道公園内に自転車道の整備も提案したい。
岡山市は坂が無いという地形の関係から自転車の利用者が多い街である。そのことも踏まえ、自転車の利用者も西川緑道公園を楽しめる環境を作ることは、より多くの市民が西川緑道公園に親しむことのできる市民の憩いの場としての存在を輝かせる事ができると考える。
西川緑道公園を整備した岡崎平夫岡山市長が提唱した、「緑と花・光と水」の街づくりの理念に本当の意味で立ち返り、都市に利便性と水辺を活かした自然との共生を目指し、西川沿いは緑地や歩行者空間に当てるという基本をありのままに実行する事が、時代の転換期といわれる今だからこそ求められる岡山市、岡山市中心市街地の姿であるといえる。
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