岡山政経塾 チーム21
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◆岡山市中環状線エリアの現状と
活性化に向けた取り組み◆
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「5.水を活かした周辺地域の活性化」
7期生 難波 宏行
政令指定都市となった岡山市都市ビジョンに「水と緑が魅せる心豊かな庭園都市をめざして」とある。岡山市の目指す都市像のスローガンである。この「水」は中環状エリア内では、西川・旭川を活かした街の創造をしていくこと考える。
現在行われている「水」に対しての取り組みは、西川緑道公園の歩道の整備、後楽園周辺の旭川の護岸整備、緑を増やし景観の美しさを引き出す取り組みが重点的に行われている。
しかし、現状の歩道を整備や護岸をきれいにすることで、今よりも多くの人が訪れ、今よりも多くの楽しみを感じる事が出来るか疑問を感じる。
これからは「水」西川・旭川・瀬戸内海、の新しい魅力の創造を行う必要がある。
1.後楽園の外周の旭川を、遊覧船で就航
後楽園は、旭川に囲まれた中州に位置している。実際、後楽園の来園者はその事に気付いているのだろうか。この水辺を活かして、後楽園の来園者数アップや周辺地域の【ひと】【モノ】【金】が回る可能性を見出していく。
1−1 島根県松江城のお堀の遊覧「堀川めぐり」の紹介
松江堀川では、平成9年7月から堀川遊覧「ぐるっと松江堀川めぐり」を開業し、以来発着場では毎日のように多くの観光客で賑わっている。船の発着場は3箇所あり、コース全長は約3.7km、遊覧時間は約50分で、松江城や武家屋敷、官庁街などの町並みを川面から見ることができる。
千鳥城とも呼ばれる松江城の優美な姿を望む松江堀川。松江堀川の沿川は、松江城、塩見縄手をはじめとした城下町の風情があり、水都松江のシンボルとなっている。県外からも多くの観光客が訪れ、松江市を代表する観光スポットとなっている。
堀川めぐり(島根県 松江市)
「堀川めぐり」堀川遊覧船利用者数 (単位:人)
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平成16年 |
平成17年 |
平成18年 |
平成19年 |
平成20年 |
利用者数 |
325,151 |
314,004 |
315,160 |
336,146 |
349,097 |
島根県観光振興課より
1−2 提案
(1) 後楽園の周りを取り囲む旭川に、遊覧船による活性化を提案する。
後楽園は、庭園としての魅力はあるものの、アンケートの結果からも、再度来園したいと思える公園の賛否は分かれている事が分かる。また、後楽園の景観を見て楽しむことはできても、この庭園を体感する事は、感性に個人差があり評価が難しいものである。
また、多様化する休暇の楽しみ方の中で、後楽園の美しさを見るにプラスして、分かりやすいメッセージで伝える事のできる、「体感」型の観光スポットを提案することにより、違う観点の観光客の獲得が期待できる。
数年前まで、新鶴見橋の近くで噴水が上がっていた。昼の遊覧については噴水と水と緑で、夜はライトアップで水辺の魅力の創出を図る。

旭川に噴水(放水)
(2) 後楽園へ船で入園する(御船入の利用)
後楽園の中に「御舟入」の名称が付いている場所がある。ここは、江戸時代、当時のお殿様が、岡山城から後楽園へ旭川を船で渡り接岸するための場所である。後楽園敷地外周の遊覧のもう一つの体感型の魅力として、観光客の皆様にそのまま後楽園に船で入園する。その歴史を説明し、その時代のイメージと照らし合われながら御舟入すると、お殿様の気分で庭園を望む事ができるのではないか。
1−3 問題点
現状の問題点として、水面の高さが江戸当時の高さよりが低い事が第一に挙げられる。新幹線の上流にある堰、中原にある堰、その上流にも多くの堰が点在、旭川ダムも有する。江戸時代にはそのような堰やダムがなかったため、下流部の河川の水面の高さ現在よりはあったと考えられる。また、長い年月により、土砂が自然に堆積し、水面と川底の水嵩が保てないのも一つの問題点である。
岡山県庁のそばにある「新堰」(岡山市中区管理)この堰より上流部の水位をコントロールしている。稲作のシーズンの6月から10月まではこの堰は、ほとんど閉じており、用水路への水の供給など農業関係者らの水利権を満たしている。この時期は、旭川の水位も確保され桜並木の方の水路も水位が確保できる。桜並木の方向の水路には、橋が2本かかっている。実際に橋の下をくぐるのは難しいが、現在ついている橋も簡易的なものなので、通れる構造の橋に掛け替えることも視野にいれる。
先ほど例に挙げた松江城の「堀川めぐり」は、屋形船の屋根がたたまれ、乗船客は身をかがめ、水面と橋の狭い間隔をすり抜けていくことも、体感の面では一つのポイントでもある。
しかし、11月から5月の期間は、堰の解放のため水位が激減し、川底が広く顔を出す所も数多くある。過去には後楽園の景観を維持するため、旭川の水を一定量常に保つよう、新堰の開閉を行い調整していた。水位を保とうとすれば物理的に可能ではあるが、満潮、干潮時、雨天、ダム放流などでの開閉の調整をする職員の労力の負担と、堰の老朽化によるメンテナンス費用、また10月から5月は通常料金の電気代がかかるのでコストがかかる(6月から9月は農業用の特別料金)ため、短期間で終了した経緯がある。また10月から5月の堰の開放は、漁業権や生態環境の保護の観点から、魚がさかのぼるよう開けられている。
また、御舟入に関しては、土手を改修する工程が考えられるので、河川の治水の安全性を考えた工事計画と、船が入る時の安全性を十分に考え、国土交通省からの認可の可能性を高める必要がある。
1−4 就航する意義
多くの問題点があるが、できない理由を述べると、出来るものもできない。後楽園および後楽園周辺の活性化を念頭に考えた際、日本や世界で勝負のできる後楽園の魅力ある資源を活かしていかなければならない。例えば、運航期間は、6月から10月の新堰が閉じている時、就航日は金、土、日、祝日など限定する。10名定員の屋形船からスタート。可もなく不可もない観光政策では、集客を見込む事は困難である。他府県の成功事例も踏まえ、可能である所からスタートし、岡山県もしくは、政令市となった岡山市が管理運営し、首長の強いリーダーシップのもと後楽園を活用した岡山の魅力の発信をしていく事が重要である。
2.京橋から瀬戸内の島々へ船の就航
2−1 京橋の文化、歴史
京橋は陸路で城下町に入る玄関口であり山陽道筋でもあった。水路では京橋の下流の船着き場からは、四国へは毎日、大阪へも便船があり、岡山の陸路と水路の交通の要であった。物流の拠点であり、町人町として多くの有力な商人が集まり栄えた。
明治に山陽鉄道が開通し、昭和には南側に新山陽道の完成、岡山港の整備により、陸路、水路の交通・物流の拠点として機能果たした地域の役割を終え、現在に至る。
岡山の歴史的役割、発展に欠かせない地域であった事が分かる。

大正15年の京橋 岡山県立図書館『デジタル岡山大百科』より
2−2 京橋周辺の現状
上記で述べたように、岡山の発展に欠かせない重要な地区として、これからも後世に伝えていかなければならない。京橋周辺の町内会や関係者が京橋に対する思いと、この地域の文化的な重要性を発信し、これからのあるべき姿を模索しつつ、活性化の足掛かりとして、「京橋朝市」を展開している。平成元年から京橋朝市が始まってから22年、毎月第一日曜日の早朝から多くの人で賑わっている。

京橋朝市の様子
始まった当時は、年配の来場者が多かったが、現在では、若者やカップル、家族での来場が目立つようになってきた。また、各マスコミによる取材も多く、県外からの観光客を獲得している。
【ひと】【モノ】【金】が集まる交流の場としての起爆剤となっている。このイベントを周辺地域の活性化につなげなければならない。
2−3 提案
船での瀬戸内への就航の提案
歴史と文化で述べたように、京橋は陸上、船舶、鉄道の交通網の拠点である。この歴史や文化を伝えるため、改めて、先人が通った足取りを再現する方法も、今の人々に改めて京橋に触れてもらえる一つの手段である。ここでは、京橋で発着する船の就航を提案する。
船の就航にあたっては公共交通機関の観点から、公設民営で行う事がベストである。施設は行政が整備する。そして運営は民間にゆだねる事が重要である。
昭和30年代まで、京橋から四国、豊島、小豆島へ船が運航され、50歳以上方々は周知している方も多い。新岡山港のへ拠点が移され、京橋の役目は終わったが、当時は、島民が岡山市内へ行き来する生活を重視した船であった。
この提案は、あくまで観光に視点を置いた船の運航を目指している。
就航した際の魅力
現在、瀬戸内の島々魅力は、直島を中心として国内に留まらず、世界からの観光客を呼び込めるほどの魅力ある資源となっている。また、今年は瀬戸内の島々が主役となる「瀬戸内国際芸術祭」が開催され、多くの観光客が船を利用して渡島する。
公共交通機関を利用する観光客の足取りは、
・宇野港利用の場合
岡山駅からJRで宇野港(45分)
直島へ(15分〜20分)トータル約65分
豊島へ(40分)トータル85分
小豆島へ(豊島経由で90分)トータル135分
・新岡山港利用の場合
岡山駅からバスで(35分)
小豆島へ(70分)トータル105分
・犬島の場合
岡山駅からバスで西大寺(35分)
西大寺からバスで宝伝(40分)
宝伝港から犬島(5分)トータル80分
直島の来島者数が多いため、拠点となる。京橋から新岡山港・犬島・直島・豊島へ向けての就航は、選択肢のとしてあってもよいのではないか。
岡山駅に着いた観光客がJRに乗って宇野港に向かうのも、バスに乗って向かうのも岡山の町並みを見る事ができ、それも一つの方法である。
岡山駅に着いた観光客が路面電車に乗り京橋、もしくはその前の駅で下車し表町商店街を歩き京橋へ、そこから発着する船に乗り川からの景色を眺めながら新岡山港・犬島・小豆島へ向かう。ちなみに、京橋から犬島まで船で約45分と所要時間も問題はない。
京橋の船の発着は中心市街地に【ひと】の流れをおこす材料になる。船の就航の際には、船から見える、文化遺産や歴史を、現代の風景と照らし合わせながら、景色を楽しむ。
2−4 現状および問題点
京橋の場所での船の就航は、水深が保てないため大きな船の発着が困難である。川底を掘る方法もあるが、工事の規模が大きくなるため現実的ではない。
2−5 就航する解決策
まず、船の大きさの制限をする。船着き場としては、旧船着町で行うのが歴史的に考えてベストである。
現在京橋の河川敷に遊歩道が出来ている。この遊歩道は下流に向けて、現在の船橋町まで伸びている。ここまで来ると、現存する船着き場が存在する。京橋からは、約600m歩いてもさほど苦にならない距離である。
この船着き場とその周辺の河川敷は、岡山県港湾課が、平成12年末に今までの港湾施設の指定を外したものの、国土交通省から岡山県に対して、港湾施設としての占用許可をしている現状で、これまでの経緯による複雑な問題について、いまだに交渉と調整が続いている個所がある。つまり、国が県に河川敷を貸し出している状態で、両者の責任が明確でない。そのため、河川敷の諸問題が解決に向かわず、複雑化している。
また、この船着き場もそうだが、旭川に係留している船をよく見かける。すべて係留許可のない船で、基本的に不法係留となる。移動を促してもこれらの船の管理場所がないため、海や他の河川にしわ寄せがいくようになる。車のように車庫証明がなくても購入できるため、保管に関しての定めがはっきりしていないのも問題である。
河川を管理する国土交通省は、現在中国地方一円の河川改修工事を行っている。これらの不法停留などの諸問題を抱え、護岸の整備や治水対策を行っているのが現状である。
船橋町の船着き場周辺を、観光船の発着する場所として機能させる事は、岡山の観光産業の起爆剤として、また国土交通省の抱える、船の不法係留と河川敷の不法利用の問題を解決する糸口にもなる。両者がWINの条件のもと、進められ、観光船の船着き場としての河川利用、改修工事の認可が国から受けられやすくなる可能性もある。
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旭川に不法係留する船 |
船橋町付近の港 |
2−6 就航する意義
上記の船の発着は、岡山県に所属する島は犬島のみで、他の島は香川県に属している。岡山県からすると自前の観光地に人を送りこんでいないため、どうしても消極的になりがちではないか。瀬戸内芸術祭のHPを開いてみても、7つの島々プラス高松港周辺の開催と書いてある。確かに香川県知事が実行委員長の祭典で、犬島以外は香川県の観光資源なので分からなくはないが、直島の来島者が岡山経由(宇野港利用)で来島している現状を考えると、岡山の中四国における交通拠点としての重要性を、自覚しなければならない。
瀬戸内芸術祭の観光客が、岡山駅経由で来島する。瀬戸内芸術祭で直島は拠点となり、岡山のほうが距離が近い。岡山に立ち寄って岡山の観光地を散策する。岡山で宿泊する。
香川県の試算によると、瀬戸内芸術祭は50億円の経済効果が見込まれている。観光産業のあらゆる経済波及効果の可能性を考えるのであれば、その島がどちらかの県の所属ではなく、香川県と岡山県がともに手を組み、お互いが持つ利点で観光収入を勝ちとって行く事が必要である。
岡山駅に「瀬戸内芸術祭」「直島」の看板が、題材的に大きく打ち出される日は来るのだろうか。
まず岡山市長、岡山県知事が、政治主導で旭川や瀬戸内海を活かした岡山のあり方、観光のあり方を具体的に提示する必要がある。
3.水辺の景観の魅力を活かした、オープンカフェの設置
3−1 動機
岡山の中環状エリアには一級河川の旭川に、岡山駅から程近くに西川緑道公園など、中心市街地に水辺を楽しむスポットが数多く点在する。この美しい水辺を利用した活性化として、今回、オープンカフェの常設を提案し、多くの市民や来訪者に憩いの場と交流の場を提供し、潤いと安らぎを感じる風景を創り出す。
なぜオープンカフェなのか
岡山駅から西方面へ車で15分の場所に、岡山県卸センターがある。この卸センターは、繊維組合の卸売業のため岡山県が誘致した総合団地である。しかし、繊維卸業の衰退とともに空き店舗利用した小売・サービス業の参入から新しい商業スポットとして注目を集めている。
公共交通の便は決して良いとは言えない場所が、平日、週末を問わず多くの人で賑わっている。このエリアには、多くのカフェが存在する。今でさえ多くのショップが点在するが、このエリアを若者に認知させ、その若者に支持されるショップが集まった中心的なカフェが存在する。県の管理する区画でありながら、個々のお店のバイタリティの集合体による民間の力で、街の雰囲気を作り出している、活性化されている身近な成功例である。
おしゃれなカフェは多くの若者の支持を得るための、1つの手段である。今回はこのカフェの常設と水辺の景観を活かすためオープンカフェの展開を模索する。
今回のアンケートの中で「問屋町を買い物や食事に利用しますか?」
上記質問に、「はい」の回答者の割合を年代別・性別で表し評価してみる(単位%)
世代 |
10代 |
20代 |
30代 |
40代 |
50代 |
60代 |
70代 |
性別 |
女 |
男 |
女 |
男 |
女 |
男 |
女 |
男 |
女 |
男 |
女 |
男 |
女 |
男 |
回答率 |
32 |
25 |
67 |
56 |
57 |
42 |
34 |
24 |
38 |
5 |
33 |
8 |
0 |
17 |
世代計 |
30 |
62 |
48 |
29 |
22 |
18 |
8 |
20代と30代に支持されていることが分かる。また性別で見ても70歳以外の各年代とも、女性の支持が高いこともわかる。
3−2 広島の「水辺のオープンカフェ」の紹介
水の都ひろしま推進協議会が「水辺のオープンカフェ」の展開をしている。市民、企業、観光関係者、学識経験者、行政(国、県、市)で構成されており、現在は、社会実験としてオープンカフェを実施し、検証することとなっている。
中間評価では、にぎわいの効果や仕組みのあり方、周辺環境への影響等の評価項目において概ね良好な評価が得られている。
2010年に6年間の検証、見直しが行われる。

広島の水辺のオープンカフェ
4.三つの場所の提案
今回は3か所の提案をする。
(1) 西川緑道公園
(2) 石山公園(岡山市民会館の横)
(3) 西中島地区(京橋を東へ渡った中州)
5.西川緑道公園での提案
5−1 西川緑道公園の文化と歴史
江戸時代岡山城下町として栄えた岡山市街地中心部には、都市用水・西川が流れている。川の両岸に沢山の樹木が立ち並ぶ現代の西川の姿が形作られたのは昭和四十九年(1974)から昭和五十七年(1982)にかけて西川が分流枝川と合わせて、当時の市長岡崎平夫氏によって緑道公園化された。現在では散策やキャンドルナイト、音楽祭などのイベントに多くの人が利用している。
5−2 アンケートの評価
西川緑道公園は、岡山駅より程近く全国18政令都市の中でもこれほど近くに水辺と緑が生える都市は他にはない。市民や来訪者の足を運びやすい環境にある事から考えると活性化策を考えていく事は必要不可欠である。
今回のアンケートの中で、「西川緑道公園に目的を持って行った事はありますか」の問いの結果は、【ない・知らない 63%】である。
アンケート結果の通り、現在の西川緑道公園では目的を持って訪れる場所とは言えない。活性化の定義で述べたとおり、イベントでの集客が得られても、イベントが開催されない時は、目的を持って公園に足を運ぶ人は少ない。つまり、30年以上前に考えられ造形された西川緑道公園の魅力と、現在の市民の価値観にズレが生じている事が考えられる。
5−3 提案
市民や来訪者に認知してもらうため、岡山駅から伸びる電車道、桃太郎大通りから望める場所に、独立店舗型のカフェの常設を提案する。
イメージ
西川緑道公園は来訪者、とくに岡山駅を利用する観光客にとって路面電車の次ぎに、水と緑で目を引く事が出来る魅力を持っている。ふとそこに目をやると、景観を損ねないおしゃれなカフェの店舗に、市民が水辺で憩う姿を目にしながら目的地(後楽園など)に向かう。観光目的を果たした後、帰りに西川に寄ってみようと思ってもらい、中心市街地に人の回遊性を起こし周辺に経済波及効果をもたらす。市民が水辺で憩う日常的な生活感が、一つの魅力ある資源になる。
西川緑道公園は岡山市の管理にあるため、岡山市の政治的判断で実行できる。
6.石山公園での提案
6−1 石山公園の現状
石山公園は、旭川・後楽園・岡山城を一度に楽しむことできる絶好の立地である。後楽園・岡山城・文化ゾーンンの来訪者をターゲットに展開する。
石山公園は、フリーマーケットや秋のおかやま桃太郎まつりなど各イベントが開かれている。文化ゾーン内の各町内会は、周辺活性化の活動として石山公園で第三土曜にボランティアでカフェを展開。無料で来訪者にお茶をふるまっている。カルチャーゾーンに存在する立地を活かし、周辺を何とか活性化していこうとする地域住民と政治・行政が足並みを揃えていかなければならない。

石山公園から見た景色
6−2 提案
旭川、後楽園、岡山城を望める個所に独立店舗型のカフェを設置、観光客と市民の新しい憩いの場として提案する。
7.西中島での提案
7−1 西中島の現状と問題点
西中島は、京橋より橋を東へ一つ渡った中州のエリアである。ここから上流に旭川を望むととても自然あふれる景観である。前項で述べたとおり、京橋周辺は歴史的、文化的に大変魅力のある地域で、京橋周辺の活性化に必要なエリアでもある。この京橋・中橋・小橋3つの橋より上流は、岡山市の景観重要公共施設(河川)や風致地区に指定されており、貴重な歴史的空間としての水辺景観が形成され保護されている。以前、岡山市がこの場所にローラースケート場として活用するために、コンクリートで整備されたが、現在は放置されている。また、夏の花火大会の打ち上げ場所としての利用がされており、とても広い敷地である。
しかし、この西中島は旭川が大雨などで氾濫した際の治水についての問題点がある。現在国土交通省は、旭川の治水対策として、問題個所の修復工事の多くの計画が設定されており、西中島も例外ではない。西中島の中州の治水の計画も予定されているが、その中州の北側の更地は何の計画もない、現在のままの状態を維持することとなっている。

西中島と京橋(北側から)
7−2 提案
西中島の北側の空き地の利用をする。大きめな商業施設を構えカフェ・レストランのような食を充実とショップの展開を提案する。後楽園周辺の文化ゾーンから、岡山城、林原美術館、表町を経て京橋への観光ルートの確立のため、後楽園と京橋の両端に観光の目的を集中させ、観光客の【ひと】の回遊性を創り出していかなければならない。そのために観光の立場から、京橋朝市は月1回から週1回へ運営できる努力も必要ではないか。また、提案のショップの中に岡山県の観光物産品を集中的に集めるのも、良いのではないか。
8.3つに共通するオープンカフェの店舗のあり方・条件
すべて独立店舗型で、店内と店外の両方で飲食できる規模とする。厨房などの施設を有し、レストランとしての機能を果たすものとする。
一か所に複数店舗出店し、競争のある環境で良いお店の構築を行っていく。
出店者は公募で先行し、景観を損ねない店舗、水辺の景観を維持する活動の義務など、あらゆる条件を提示する。
9.考えられる課題
事業性の確保と集客力の向上
オープンカフェのため暑い、寒い、雨などの、気候によって集客の変動が考えられる。また、常設した際は、NPO法人、町内会、地域学校など周辺地域の市民の手で新しい取組みをしていく必要がある。
岡山は交通の便もよく、中四国の中で県総生産は広島に次いで二番目で、良い方という感覚ではある。しかし、現在の日本は、景気の低迷により税収の減少、財政状況の改善が困難になってきている。岡山も例外ではない。
山陰や四国など、観光産業に頼らざる得ない県も確かにある。しかし、これらの県の観光に対する取り組みは、岡山にはない熱意と実行力が感じられる。
交通の要所の利点を最大限に生かして周辺各県との連携を強化し、県の枠を越えた観光客の取り込みや回遊性を図らなければならない。
岡山県および岡山市の政治は、観光に対する意識を高め、今ある資源を活かした魅力の創造と発信を、政治が先頭に立って実行していくことが望まれる。
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