岡山政経塾 チーム21
◆◆医療・福祉分科会◆◆
3.多様性と先進性に富む岡山県の医療・福祉の現状(現在)
A) 客観的データからみる岡山県の医療〜岡山の医療は本当に豊かなのか?〜
〜岡山の医療は本当に豊かなのか?〜
8期生 吉田 龍一
岡山に住んでいると「岡山は医療が進んでる」という言葉を確かによく耳にしますが、本当にそうなのでしょうか?本章では、岡山県の人口や平均寿命〜様々な医療に関する客観的データを抜粋、提示します。
@ 岡山県の人口及び世帯数
平成21年10月1日現在、岡山県の人口は194万3,655人(男93万2,250人、女101万1,405人)であり、平成17年をピークに減少傾向に転じており、平成17年から21年までの4年間では人口は13,609人減少しています。平成21年の人口を年齢3区分にしてみると、年少人口(0〜14歳)は26万7,983人、生産年齢人口(15〜64歳)は118万4,210人、老年人口(65歳以上)は48万1,380人で、県人口に占める割合はそれぞれ13.8%、60.9%、22.7%となっており、岡山県は全国平均と比べ高齢化が進んでいます。そして今後もより一層の少子高齢化が進むと予測されています。また平成17年10月1日現在の岡山県における一般世帯数は72万4,474世帯で、1世帯あたりの人員は2.63人となっています。以上のデータから岡山県はやや高齢化の進んだ人口が減少しつつある現状がうかがえます。
A平均寿命
岡山県のおける平成17年の平均寿命は、男性79.22年、女性86.49年となっており、昭和45年と比較してみると、男性8.53年、女性10.12年延びています。図1に岡山県における平均寿命の推移を示します。昭和45年以降男性、女性とも全国平均を上回っており、特に女性の平均寿命の長さが目立ちます。
B岡山市の医療環境の政令市比較
次に岡山市に注目し、平成17年における人口10万人あたりの一般病床を有する病院数、300床以上の一般病床を有する病院数、病院の一般病床数、一般診療所数、医師数を政令市毎に図2に示します。病院数・大規模病院数・ベッド数・一般診療所数・医師数いずれも、名だたる他の政令指定都市の比較において上位に位置しており岡山市に医療環境の優越性が確認できます。
C岡山県の医療環境の全国比較
岡山県では県を5分割し、図3に示すような二次医療圏を設定しています。それぞれの医療圏における各種データを比較することで、県北部と県南部の医療環境の差異を確かめてみましょう。
医療従事者数
図4に人口10万人当たりの岡山県と二次医療圏別の医師・歯科医師・薬剤師数を示します。県の医師数は人口10万人あたり272.9人と全国平均224.5人を大きく上回っていますが、県内2次医療圏別でみると県南東部・県南西部に医師が集中しており、高梁・新見保健医療圏や、真庭医療圏、津山・英田医療圏といった県北の医師数は全国平均を大きく下回っており、県内での医師分布が偏在していることが分かります。
保健師、助産師、看護師、凖看護師数
図5に人口10万人当たりの岡山県と二次医療圏別の保健師、助産師、看護師、凖看護師数を示します。いずれも岡山県は全国平均を上回っていますが、やはり県南に比べると県北には従事者が少なく県内で偏在しています。
地域別の受療動向(入院患者)
岡山県内の病院(一般病床、療養病床)等に入院している患者の住所地別に、どこの保健医療圏で受療しているかを示す割合を図6に示します。この図から分かることは県南東部や県南西部医療圏ではその地域に住むほとんどの人が地域内の病院に入院していますが、県北医療圏に住む人は県南の病院に入院している傾向がみてとれます。
まとめ
岡山県は医師数や病院ベッド数などの医療資源は他県と比べてかなり豊かであるといえるでしょう。しかしながら県北と県南を比べると、歴然とした医療資源の南北格差が存在し患者が県北から県南に流出することでバランスを保っているのが現状と分析できます。
D救急医療
次に、現在問題となっている救急医療について岡山県の現状をみてみましょう。
図7に岡山県内の救急搬送人数即ち救急車で病院に搬入された人数の経時推移を示します。平成10年から10年間で救急搬送人数は約1.5倍、47%も増加しています。図8に搬送の平均時間即ち医療機関に収容されるまでの時間を、図9に医療機関に受け入れの照会を行った回数を示します。岡山県の搬送平均時間は32分と全国平均を上回っており、医療機関の照会回数4回以上が2.1%と全国平均を大きく上回っており、いわゆる「たらいまわし」が起こる可能性が低く救急搬送体制も他県と比べて整っていると理解できます。
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