2016年12月 
 伊勢神宮・おかげ横丁 視察

(有)伊勢福の挑戦

藤原 行照 (岡山政経塾 15期生)

・外宮
表参道は、玉砂利が敷き詰められ、今年もきれいに掃き清められていた。
普段アスファルトの上しか歩いていない自分にとって、かなり歩きにくいが、「ざっ、ざっ」という音が響き渡り、普段何となく歩いているが大地を踏んでしっかりと歩いているという感覚と、その場所に溶け込むといった感覚を得ることができ、とても心地よい。
また、森が深く、周囲の騒がしい音を吸い込み厳かな空気を作り出している。奥へと進むうちに、自然に心が穏やかになった。
外宮は、正式には「豊受大神宮」といい、天照大御神の食事を司る神をまつる。正宮では、厳かな気持ちを忘れ、煩悩丸出しのお願いをする自分がいた。仕事、健康、御利益、男として…への期待に、胸を膨らませた。
 
 ・内宮
内宮の別名は「皇大神宮」といい、最高神であり太陽の神でもある天照大神が祀られている。
正宮までの道は、緑の葉が生い茂る大きな木々に囲まれ、とても荘厳な雰囲気。道沿いにも迫力ある巨木がせり出し微妙にブレていて、それがなんとも神秘的だ。 古い石にコケがびっしりと石橋に生えていました。これを見ているだけでも心が安らぎ、「今年も来てよかった。」と感じた。
正宮は、個人的な願い事をする場所ではないと聞いていたので、世界の平和と繁栄を祈願した。
安仁神社、三原宮司の参拝の作法の仕方を学んでいるので、去年とは違って、自信を持って祈りましたが、三原宮司みたいにいい音はなりません。しかしながら、岡山政経塾の一つ一つの学びがすべて繋がっていることを感じ、改めて感謝した。

・おかげ横丁
まずはコーヒーを一杯。去年と同様入った店が五十鈴川カフェである。五十鈴川が流れ、また紅葉の時期でもあり、「江戸時代か?いや平成?」と思うぐらいゆっくりと時間が流れ非日常的な空間を楽しむことができた。何気ない会話の中についつい笑顔になり、いまでも眼をつむればその風景が思い出され笑顔になっている自分がいた。

昨年(有)伊勢福代表の橋川史宏氏の講演を拝聴させて頂いた中で、
① 夢
② 感動
③ 継続性
④ 共有 

私は、玉野の町を将来どのような町にしたいのか、ビジョンを具体的に描かなくてはならないこと、その描いた中で一緒に住む人、来る人がどのようなもの、どのようなことに感動するのか、今やろうとしていることが、本当に継続していくのか、どうやって継続させるのか、一人で感動するより、多くの人で感動することが最も重要であることを教わり、今後の玉野の在り方について、とても勉強になった。
今年は、町づくりの施策について
① 建物
② 商品
③ 催し
④ 接客

戦略・戦術のコンセプトである、神恩感謝、伝統文化、伊勢の商人らしさ、すべてにおいて、この4つの柱が当てはまるように行動を起こしている。
江戸時代、当時の人口の1/5にあたる人々が、日本全国から「伊勢に行きたい伊勢路が見たい せめて一生に一度でも」と伊勢へ押し寄せた。居住移動することを制限され、満足な宿泊施設もない当時の参宮は、まさに命懸けの旅であったことだろう。
約4000坪の敷地には、江戸時代から明治にかけて伊勢路の代表的な建物が移転・再現されており、周囲の自然風景に馴染む商家など身近な日本建設を再現し、美しい街並みを釘一本にもこだわり造っていること、また、商品の誠実さ、本物の味にこだわり、三重県限定の商品だけ集めているわけでもなく、全国各地にいいものがあれば足を運び交渉をし、一店舗ごとの個性や特徴を大事にしている。接客に対しては、心からおもてなしをすることが美徳だと考えられ、見返りを求めない無償のサービス=「施行」というこの地域の伝統的な精神を活かした接客を心掛けている。
参拝客に喜んでいただけるサービス、魅力が凝縮されており、日本建築をはじめ、老舗の味、名産品、歴史、人情まで、一度に体感することが出来た。

すべてが新鮮でとても有意義な時間を過ごすことができた。直島もそうだが「在るもの(素材)を最大限生かす」、「非日常的な空間」「そこでしか味わえないもの」をつくりだしていることだ。

伊勢福の挑戦はまだまだ、続く・・・。

橋川社長から、伊勢たくわん、さめのたれ、桑名の蛤のしぐれ、3点をお土産にと言われ、買って帰りその答えがわかった。

「今年の減量やめよう。」

ごはんが・・・、ごはんが・・・。やめられない。