『もてなす町』
萬成沙織 (岡山政経塾 15期生)
世の中には知らないことばかり。2度目の伊勢神宮・おかげ横丁の訪問でしたが、知ることで今まで見えなかったものが見えてくる。おかげ横丁は楽しくて魅力的、そして少し不思議な町でした。
美味しい町
はじめての伊勢うどん。極太麺なのにやわらかい食感、意外とあっさりした濃褐色のタレをかけただけの素朴なうどんでしたが、賑わった店内で食べる伊勢うどんはとても美味しかったです。他にも、赤福本店で食べた作り立ての赤福。食べ物が美味しいと、こんなにも旅の喜びを味わえるのだと思いました。
驚き
400m四方の町には60余りの店が軒を連ねているが、おかげ横丁が1つの会社が作った町だと知ってとても驚きました。食べ物・お土産・工芸品…各店には個性があり、そのどれもが違う魅力を持っている。ただ、町全体に統一感があるのは明確なコンセプトをもとに町づくりが行なわれているからである。
コンセプト
〔神恩感謝〕〔伝統文化〕〔伊勢の商人〕
この3つがおかげ横丁のコンセプトである。建物・商品・催し・接客のすべてが神宮門前町にふさわしいものであるか?伝統を継承するものであるか?商売人として発想したものであるか?を軸に町づくりを行なっている為、ここにしかない個性が生み出されている。どこにでもあるような観光地ではなく、〔おかげ横丁〕というブランドが人々の関心を集め、20年で20万人から500万人の人々が訪れる町になったのだと思った。
魅力
「懐かしい」と感じるのはなぜだろう?時代劇で見たことがあるようなおかげ横丁の町並みは、江戸時代から明治期にかけての伊勢路の伝統的、特徴的な町並みが移築・再現されている。四季を感じる開放的な町は伊勢路の魅力が凝縮されており、老舗の味・名産品・歴史・風習・人情が一緒に体感できる。私にとっては「新しい」ものであるが、古き良き日本を感じるこの場所は、心が落ち着く不思議な魅力に包まれていました。
伝統
かまどや瓦・梁に施されたはつりなど、伝統的な文化・風習を大切にするおかげ横丁には、様々な伝統技術を守る人々によって町が支えられている。かまどの手入れは左官職人が行い、瓦職人が猿を作り屋根の上には遊び心が。伝統的なものを凍結保存するのではなく、常若の思想によってものは新しくなっても気持ちを大切にする伊勢の人々。技術を残すことで仕事が作られ、おかげ横丁で働く人々が共に輝いているのだと思った。
よきもの
「本当に良いものを」と選りに選って並べられた商品は、人々の誇りとこだわりを感じるものばかり。伊勢の名産品はもちろん、全国から集められた品々は選ぶ楽しさに溢れ、伊勢の旅が「よきもの」との出会いの場にもなっていました。真面目に、あたたかく人々を迎えてくれるおかげ横丁。ただ訪れるだけではもったいない。知ることで更なる魅力を感じることができる町は、感謝とおもてなしの心に溢れていました。