昭和と教育の町豊後高田市
虫明雄基 (岡山政経塾 10期生)
『豊後高田市』教育について勉強している際に何度も聞いた言葉であった。川崎で始まった『寺子屋』を調べている際に『学びの21世紀塾』を知った。文科省の傍聴に行った際や、教育を勉強している方からも『豊後高田市』の話が何度も聞く機会があり、私はいつか行ってみたいと思っていた。
そして、大分県を訪れるからには『杉乃井ホテル』にある露天風呂からみる景色をもう一度見たいと思っていた。10年程前に観光で別府に訪れた際は、廃墟の様なホテルであった。しかし、潰れたかについて調べたところ予約が取れない程に盛況なホテルへと変貌しており、どの様に変わったのか現地を訪れたいと思った。
そのため、『豊後高田市』『杉乃井ホテル』を今回の例会を機会に訪れる事を楽しみにしていた。
【昭和の町】
高齢の店主が閉店準備に入ると、向のお店から女性の方が手伝いに現れ『いつもありがとう』の一言がありそこには『ご近所の助け合い』があった。高齢の方が周囲に支えられながら働き続ける事が出来るのは、私には理想的な姿だと感じた。
『玉津コミュニティカフェこいこい』に近づくと子どもの遊んでいる声が響き、路上でボール遊びしている子どももいて、車や人が通るとボール遊びを一度中断する姿は川崎や、都内では見ることのない『道路も遊び場に変えてしまう子どもの姿』が懐かしく感じた。桂川に掛かる橋の上には、小学校の頃学校帰りに遊んでいた『ジャンケンすごろく』『ケンケンパ!』 の遊び方が記載されており、小学校時代の記憶が思い出された。
商店街の各店舗には、園児が描いた絵が展示されていた。子どもの絵を展示する事で、子ども・父母・祖父母が訪れる。そこには、店主との会話が生まれ展示される事で思いでとして残る事が想像出来た。
昭和30年代に、私は生まれていないためわからないが、昭和に生まれた者は昭和の町を歩く事で懐かしい記憶を思い出す事が出来るのだと思う。昭和に生まれていない子どもは、親や祖父母の懐かしい思い出話や遊びを体験できた。
【教育の町】
『ゆとり教育』が始まった際に、保護者の意見を参考にし教育者自身が何を求められているのかについて考え、平成14年に『学びの21世紀』を開講した当時の教育委員会はすごいと思った。それ以上に周囲の『教育者』『地域住民』をボランティアとして巻き込みながら『教育長』になり、権限を現場に与え『弱味を強味に変える』という発想で教育に取り組んだ『河野教育長』の話は勉強になった。
私が児童養護施設で指導員をしていた際に、『品川区』は小中一貫校であり他の自治体と比べても学ぶ事が先に進んでいた。そのため、他の自治体より児童が入所する度に勉強についていけずに自信を無くす児童の姿が忘れられない。そのため、一部の人間だけでなく、漏れる事のない様に『ケーブルテレビ』『DVDの貸し出し』を活用し学校へ通えない人にも配慮した『テレビ寺子屋講座』で、教育の格差が生じない様に整えた『豊後高田市』の『テレビ寺子屋講座』は全国で広がるべき事であると思う。
『学校教育』『家庭教育』だけではなく『地域住民(ボランティア)』も教育者として、子どもと関わる機会をつくる事は『知らない人から話かけられたら通報する様に指導』されている現在の教育の中では難しい事かもしれないが、今後必要となっていくと思い勉強になった。
【杉乃井ホテル】
10年前は、人も居ない薄暗い館内であり接客態度も悪い印象があり、外観からも近い内に潰れるのかもと感じた。しかし、棚湯からの別府の街並みを眺める景色は絶景であり、もう一度訪れたい温泉の一つであった。
例会に参加するため、ホテルの予約を試みるも満室で予約が取れない事がわかった。そのため、日帰りで現地に訪れると、内観は見違える程きれいであり、店員の接客態度もよく家族連れが多くいた。店員に話を伺うと7年前に全面リフォームを行い子ども連れの家族を中心に訪れやすい環境を整えたところ、客足が増えたとの話があった。お土産屋もロビーも賑わいがあり『子どもの笑顔』が溢れていた。
【湯布院】
商店街を歩くと人が多くおり活気があった。しかし、聞こえてくるのは外国語であり、近所に住む人に聞いてみると日本人より海外の観光客が増えるだけで、経済効果はあるかもしれないが、昔から住んでいる者からすると、道も混むしあまり嬉しくないとの話があった。
【日田市】
豆田町の通りを歩くと聞こえてくる声は外国語ばかり、店の前に立つも店員は不愛想でありあいさつもない。地元の店主に話を聞くと観光客は増えているが、日本人ではなく、韓国又は中国からの観光客が増えているとの話がある。観光客が増えているが、あまり『お金を落とさない』『商品を粗末に扱う』『厨房に勝手に入る』等様々な課題があり、言葉も通じず文化も違うため、海外の観光客が増える事は怖いとの話があった。湯布院は、もっと酷いと聞いているとの話があり観光地ならではの課題を知る事ができた。
【さいごに】
『豊後高田市』では都心で課題となっている事の解決策が『豊後高田市』にはあると思うと同時に自分自身の勉強不足を痛感した。『中学校教員』『高等学校教員』の意識の相違などから連携が無い事については、私には思いつかなかった。『中高一貫校』で解決するという単純な話では無いと思うし、それ以上に固定概念にとらわれない様に、私自身再度勉強しもう一度河野教育長のお話しをお伺いしたいと思った。
『湯布院・日田市』等を訪れ数字上では、観光客が増えて経済効果がある事は地域住民の暮らしがにもよくなり、外国人観光客が増える事が『観光立国』としてよい事だと思っていたが、住民の声を聞く事で、不憫さが生まれる影の部分を知る事も出来てよい機会となり感謝したい。