2018年10月 
 豊後高田市(まちづくり・教育)現地視察

『 おかえりなさい。思い出の町へ。 』

石井靖之 (岡山政経塾 17期生)

1.はじめに
昭和の町へ、おかえりなさい。とても心地よく、心に響くフレーズ。全国で衰退し消えゆく場所が多い商店街。ここ豊後高田も例外ではなく時代に取り残されてゆく商店街が、どの様に特色を出し、商店街としてお客様を誘致し存続をさせていくのか?そして教育に力を入れて全国でもトップレベルの成果を残す学力を付けさせた地域、官民一体の取組を勉強してきましたので報告させて頂きます。

2.昭和の町商店街の特色
昭和の町で宝探し。豊後高田市中心部の人気観光地「昭和の町」では、昔から商店に伝わる商売道具や店を象徴する物を「一店一宝」に定めている。一店一宝は行商自転車や茶箱、といった店の歴史を語る上で欠かせない物で、昭和の町認定店の必須条件となっている。見る人が商品を目的に来るのではなく、一店一宝がどの様な物なのか?来て頂き興味を持ってもらう為の仕掛けはとても面白いと思いました。そして印象に残ったのはブラジル珈琲舎のマスター。お客様へのおもてなしの心と接客という点では素晴らし物を感じました。お客様の興味付や豆知識、料理への拘りや料理以外の説明。昼食はカレーを食べましたが、料理の事よりマスターの印象の方が大きく残りました。そして、あのお店にはファンに成る人が多いだろうと感じました。

3.昭和ロマン蔵
昭和ロマン蔵の建物は、大分県きっての大金持ちと言われた『野村財閥』が、昭和10 年前後に米蔵として建てた旧高田農業倉庫を改築し、昭和のロマンとお宝が詰まった昭和ロマン蔵へと変わりました。昭和の商店街や昭和の教室、昭和の民家など、昭和の生活風景がそのまま再現されたスペースになっています。駄菓子屋博物館には約6万点ものおもちゃや商品がてんじされています。外のスペースには昭和30 年代のボンネットバスや乗用車なども展示してありました。実際に動く所が見れなかったのは残念ですが、とても懐かしい物が沢山ありました。印象に残っているのは年配の人が多いイメージでしたが、実際は若い女性やカップルなどの姿も見受けられました。ちょっとしたデートスポットや言ってみたい場所になっているのだろうと感じました。

4.豊後高田市の教育
平成14 年からスタートした『学びの21 世紀塾』。夢を描き夢を実現出来るような子どもたちを育てたいという願いから、地域、保護者、行政、教職員など市民が一体となって取り組んだ。

開塾の趣旨
1. 過疎化や少子化が進む中、地方では学習をする機会や場所が少ない現状があり、地方に住んでいても、都会と同じ様な学習ができる様に教育環境を整え、地域格差をなくしたい。
2. 『学力・体力・豊かな心』を総合的に育むために、多くの学ぶ場や機会を設定し、保護者や地域の要望に応えたい。
3. 将来の夢を描き、その夢を実現出来るように努力するような、前向きで、学習意欲のある子どもたちを育てたい。

『学びの3本柱』
1. いきいき寺子屋活動事業(知)
2. わくわく体験活動事業(徳)
3. のびのび放課後活動事業(体)

如何にして生徒に興味付をさせ活動に全員参加をさせ、地域社会と行政をいかにうまく連携をとって進めていくか?ハードルや課題は無数にあったと思いますが、事業のリーダーやマネージャーにあたる人が出来る方法を考え実行していった結果が今の豊後高田市の子どもたちの学力向上に繋がっているのだと感じました。
事業運営費は2,600 万円。この金額で市の子どもたちの教育と学力向上が出来るなんてすごいと思わざるを得ません。岡山の地で、同じ活動が進めれるのであれば、どれだけ今と状況が変わってくるだろうか?これからの岡山の教育に期待をしたいと思いました。

5.最後に
今回の豊後高田市の視察で感じたことは、地域にあった特色を最大限に活かすためには何が必要で何をしなければならないのか?ということを学びました。商店街では人を呼び込むためには色々な取組が考えればたくさん出てくると思いますが、1つの昭和の町つくりというキーワードで、あれもこれもせず、町作りとお店にある一店一宝など、的を絞った取組、そして教育では学びの3本柱をかかげ、3つの取組を明確にして、それを実現させるために何が必要かを考え実行していった事が成果へと繋がたのだと感じました。そして印象に残った言葉で、『これからの教育としては、サイバー社会と現実社会をうまく使える人材を育てて行きたい。適応学習と適性学習。』自分の子供にも同じ事を伝えていきたいと感じました。
岡山政経塾に入塾しないと、おそらくこの豊後高田にはまったく興味も持たず、関心もなかった分野でした。そして豊後高田市を知ることが出来、今後の自分自身の成長につながる勉強ができたと思います。貴重な経験の場を頂き、ありがとうございました。