2018年10月 
 豊後高田市(まちづくり・教育)現地視察

「古き良き時代は未来に輝く子供たちのまち」

山本瀧湖 (岡山政経塾 17期生)

はじめに

大分県へ初めて伺うことになりました。この度、研修の場としての豊後高田市には昭和の町があり、教育の町であることが以前よりホームページ等で確認していました。実際に足を運ぶことで、自らが感じたこと、考えさせられたことを本レポートで皆様にお伝えしたいと思います。
 
①昭和の町視察 豊後高田市

 JR宇佐駅からバスで約10分、バス停を降りると田舎ならではの田園風景と静けさがありながらも、その裏手で昭和の町が広がっていたのです。そこには「おかえりなさい。思い出の町へ」をテーマに豊後高田 昭和の町が約550メートルの商店街の中に「一店一宝」を用いて町全体がノスタルジックな風景がありました。一歩足を踏み入れるとどこか懐かしい温かい気持ちになる街並みが目に入り、昭和の古き良き時代になったような感覚になりました。昭和の時代をそのまま生かした街並みには井戸端会議をしている人達はもちろんのこと店の中からも気さくに声をかけてもらい現在にはない気楽に人と触れ合える環境がそこにありました。各お店に並んでいる「一店一宝」では今まで見たこともない一品があり、氷で冷やす冷蔵庫、テレビでしか見たことがないラジオや今ではガソリンがリッター150円に対して昭和37年の価格がリッター46円という展示までされていました。見るものは懐かしいながらも珍しいものばかりで、自分よりも人生の先輩方がこれらを日常で使っていたのかと思うと感慨深い気持ちになりました。
 昼食を戴いたブラジル珈琲舎では美味しいカレーライスを食べて、高級グラスで今まで味わったことのないジュースを頂きました。食事が美味しかったのはもちろんですが、なによりも店員さんたちが私たちを温かく迎えてくれたことには感動をしました。特にマスターは初めて来た私たちに、この昭和の町を詳しく説明してくれて、しかも豊後高田の魅力を余すところなく語ってくれました。もし、同じような田舎町で例え喫茶店に立ち寄り食事をしたとしても、こんなにもコミュニケーションをとってくれるところはあまりないと思います。最近のお店には見られない雰囲気が昭和の町にはあるのです。
その後もまちを散策して昭和ロマン蔵に立ち寄りました。なぜか安室奈美恵の展示場があってのですが、どうやらお店の人の趣味らしく自由さを感じました。しかし、中には昭和30年代の品々が並び、当時の雑誌やテレビ、玩具に至るまでさまざまな楽しさがあふれていました。特に展示されていた10台ほどの自動車に関しては初めて見る軽3輪に驚き、中を見ると3速までのミッション車という事実に衝撃をうけました。

あいかけカレー美味しく頂きました。

現在では考えられない安さ。

初めての軽3輪。 

②教育の町 豊後高田市

 今回の目的である「豊後高田市」の公民館で豊後高田市教育委員会教育長の河野氏より講演をしていただきました。
 豊後高田市における「教育のまちづくり」の取組は、夢を描き、実現できる子どもの育成を柱に公立幼稚園が2園、小学校10校、中学校5校、小中一貫校1校の児童数1005名、生徒数512名で取り組んでいます。注目すべきは学校・地域の協働であり、学校長と市長が意見交換してより良い環境づくりを目指しているところです。また、教職員の研修機会の充実、教育関係者との懇談会等は現場の者にとって素晴らしい環境だと思いました。
 子どもたちにとって素晴らしいと思う点は「学びの21世紀塾」です。豊後高田市では最初個人塾のみしかなかったがボランティアが集まりこの21世紀塾を立ち上げました。土曜日講座では1,3,5土曜日に18か所同時開催しており、寺子屋講座、英会話講座、市の職員も参加しているパソコン講座もあります。これらは全て参加無料であり送迎もしてくれています。いじめ・不登校対策についても初期段階で対策がされており「あったかハート123」という取組がいじめ解消率91%の高さを維持しています。その内容はもし生徒が休みを取った場合初日は保護者に学校から連絡を入れ、二日目は家庭訪問を行い三日連続で休みを取ると潜在的問題点がないか、会議と家庭訪問を行い早期解決に結びつけます。
このようなケースは他市でも行われていると思いますが、環境の良さと教師の質の高さがいじめ解消の高さに裏付けされているのだと思います。

おわりに
 今回の視察は自分自身にとって大変有意義な時間であったと思います。昭和の町では逆転の発想で成功をおさめている数少ないモデルであり、教育環境の良さは教員、生徒ともに質の高さが伺えました。余談ですが、俳優の福士蒼汰主演映画の「旅猫リポート」の撮影場所でもありました。後日テレビで福士蒼汰さんを拝見したとき、豊後高田市の菜の花畑がとても印象的だったそうです。  一見なんでもない田舎町にこんなにも凝縮されたエネルギーは私の住む町でも見習うところが必要だと思いました。また機会がありましたら豊後高田市に行きたいです。そのときは土曜日講座が見学できることを楽しみにしています。豊後高田市にも素敵な宿があるそうなので行ってみたいですね。