2016年5月 
 丸亀商店街視察

『丸亀商店街視察レポート』

和田万里奈 (岡山政経塾 15期生)

■はじめに
視察前に私が思っていた商店街に対するイメージは、寂れている。薄暗い。若者が少ない。=人がいない。本当に商売している??
これまで目にした商店街から連想されたマイナスイメージだ。
しかし、丸亀商店街に行ってみると驚きの連発!!
栄えている。シャッターが1つも閉まっていない。年齢問わず人が集まっている。
活気がある。=あれ?ここはショッピングモールだったっけ??
これまでの概念が覆された。表町商店街と真逆だ。この差は何であろうか。

■競争社会に勝った丸亀町商店街
全国共通の課題である土地問題を解決することによって丸亀町商店街の再開発が成功したというお話を高松丸亀町商店街復興組合 理事長古川氏から伺ったが、再開発成功の鍵はそれだけだろうか。視点を変えて考えてみる。

かつては高松にそごう、天満屋、OPAがあり瓦町(常盤町商店街)は栄えていた。
しかし、現在は全て閉店してしまい輝きを失ったまま時間だけが流れている。
丸亀町商店街はあんなにも活気で溢れているのに・・・

~駅ビルを巡る動き~
昭和63 1988年 丸亀町開町400年祭(バブル絶頂期)
平成元 1989年 丸亀町再開発委員会発足
平成2 1990年 丸亀町再開発の研究スタート
(このころから常磐町にそごうができる噂が…)
平成4 1992年 バブル崩壊(住民が郊外へ…)
大規模小売店舗法が改正
平成9 1997年 コトデンそごう、高松が開店(常磐町)
平成10 1998年 明石海峡大橋開通
(神戸・大阪にバスで買い物に行く人が増える。)
平成13 2001年1月 高松丸亀町まちづくり株式会社設立
平成13 2001年1月 コトデンそごうが民事再生法の適用を申請
      3月 高松丸亀町商店街A・G街区市街地再開発事業・都市計画決定
4月 コトデンそごうが閉店
      9月 高松天満屋が開店
      12月 高松琴平電鉄が民事再生法の適用を申請
平成16 2004年3月 高松丸亀町商店街A街区市街地再開発事業建設工事・着工
      6月 高松OPA閉店
平成17 2005年 高松琴平電鉄の民事再生手続きが完了
平成18 2006年 高松丸亀町壱番街(A街区)竣工
平成21 2009年 高松丸亀町弐・参番街(B・C街区)竣工
平成24 2012年 丸亀町グリーン(G街区)竣工
平成26 2014年 高松天満屋が閉店(天満屋グループ香川県から完全撤退)
平成27 2015年 瓦町FLAGが開店

この年表から瓦町(常盤商店街)が衰退していった理由が見えてくる。
丸亀町商店街が危機感を感じ、先を見据えて都市開発を始めた頃に、常盤商店街は百貨店の開店・閉店を繰り返している。
◎コトデンそごうの閉店理由
当初は大きな期待を集めていたが、平成不況で消費低迷に加えて周辺の商業施設(高松三越【丸亀町】や、ゆめタウン高松【郊外】)との競争が激しくなり赤字決算が続いた。
そごう本体も経営破綻した影響で信用不安や売上の減少を招き、経営破綻の後、閉店。
債務保証を行っていた琴電本体の経営にも影響を与え、琴電自体も民事再生法適用を申請した。
◎高松天満屋の閉店理由
コトデンそごうが破綻後、高松市内中心部の南エリアの核施設として期待されてのオープン。売上高ピークは2004年。その後、減少が続き6年連続の経営赤字。天満屋グループ、香川県から完全撤退。そごう時代より、賃貸料は半分、都会的なテナントも含まれ、百貨店だけの機能ではなくカルチャーセンターが入居するなどして公共性の高い施設であったが経営赤字・・・。天満屋が赤字経営をしている時に丸亀町商店街は再開発を進めていた。
それにより、瓦町周辺や常磐町から買い物客は減っていき天満屋の売上も急激に低下、最終的に閉店した。
→6年連続経営赤字と発表されているが、その間立て直す努力はしたのだろうか。
とりまく環境のせいにしていなかっただろうか。天満屋時代に入居していた“ロフト”が天満屋の閉店後に琴電と直接契約をして営業を続けていたが、次にできた瓦町FLAGには入居せず丸亀町グリーンに移転した。ロフトは抜群の集客力を持っている。瓦町FLAGに入居したほうがテナントの広さを確保できたのだがあえて丸亀町を選んだのは、丸亀町の将来性とまちづくり会社の営業力だろうか。
■おわりに
コトデンそごう→高松天満屋→瓦町FLAGとなったコトデン瓦町ビルだが、けして立地条件が悪いわけではない。高松駅と並ぶ市内のターミナルである瓦町駅に併設された駅ビルであり、市民は通学、通勤で駅を利用するため集客が見込めないわけではない。沢山のテナントを揃えていたが市民は必要性を感じなかったのか。
やはりテナントを揃えるだけではなく、また行きたい。と思わせる店づくりが必要なのであろう。
逆に丸亀町商店街は再開発で結果を出し、現状も再開発が続いている。
さらに買い物客だけではなく住民獲得を目的としている。
行きたい。をこえて住みたい。と思わせる商店街づくりをしているのだ。
これから人口が減っていく未来に向けて、商売を続けていくためには同じことをしていては他の競合に顧客を奪われる。まだまだ続く、丸亀町の再開発の未来が楽しみである。