2015年10月 
 豊後高田市(まちづくり・教育)現地視察

『昭和の町は教育の町』

藤原行照 (岡山政経塾 14期生)

 今、思うこと。それは、河野教育長自ら玄関前でお出迎えをしてくださったこと、また帰る際には、私たちの車が見えなくなるまでお見送りをしてくださったこと、その姿勢こそが、豊後高田市の教育の原点であるのではないかと、強く感じました。 後日お礼の電話をし、いろいろなお話をして頂き最後に「また、いつでも電話ください。」とやさしい言葉を頂きました。
このすばらしい、出会いに感謝です。

●昭和の町

  まずは昭和の町商店街から始めました。すぐに看板が昭和といいますか、懐かしさや、新鮮さを感じました。
 ただ昭和の店構えだけではなく、さりげない挨拶や試食品の提供など、店主としてのお客様とのコミュニケーションをしっかりとっていて、地元玉野の商店街とは全く違い、来てくれたお客様に対して、どこにも置いていない、ここでしか手に入れることのできない、商品の説明など笑顔で接する姿を見て、私も同様に笑顔になり、ワクワクするような、なんだか、ほっとするような何とも言えない思いになりました。地元玉野の商店街にはないものを改めて感じました。昔はこのような風景が当たり前のように出来ていたのだろうな。そして来る人来る人が、笑顔であいさつを交わし、いろんな会話をして楽しんでいた風景が頭に浮かびました。

 しかしこのような姿は、商店街で商売をする本来の姿ではないだろうか。
見学が終わり、豊後高田市商業観光課の水田室長より、「昭和の町づくり」の講演がありました。

 「昭和の町」は、豊後高田市の中心市街地の7つの商店街と昭和マロン蔵を中心に構成されていました。現在「昭和の町」づくりは、豊後高田市観光まちづくり株式会社が中心となって、いろいろな団体を巻き込みながら取り組んでいます。しかし、このような組織づくりに至るまでに失敗があった。それが「豊後高田市商業活性化構想」である。小さな町にもかかわらず、とてつもない大層な規模のドーム計画などを策定してしまった、その反省から再度方向性、計画を見直して策定した。そして、「昭和の町」は9店舗の「昭和の店」と「ご案内人」ボランティアスタッフでスタートした。メディアなどを使い「昭和の町」へ観光客が訪れ、町の賑わいが復活した。

   今回の「昭和の町」の研修も、直島と同じように思えたところがある、それは「新しく作るのではなく、在るものを再生する。」というところだ。 「現在はH23年度の40万人をピークに減少傾向にある、これを受け入れ、いままで通りの経営をするのではなく、いつも危機感を持ってまちづくり会社を経営している。」という言葉が印象的でした。

 次回は、案内人にお願いしていろいろな話を聞ききながら訪問したらもっと違った「昭和の町」が見えるのでないか。感じるのではないか。と思いました。 今回の研修では、まちづくりを持続するための仕組みや、ノウハウやそれらを生み出すまちづくり会社の役割の重要性を学ぶことができました。

●地方創生と豊後高田市の取組

  豊後高田市を調べてみると、他市にはない、先進的な教育のまちづくりを進めていてその中に、「学びの21世紀塾」がでてきました、週休5日制を契機に設立した市営の学校と載っていました。

 また、市の重点施策の中に、「人口3万人構想」と書いてありました。今現在24,000人を切っている中、どのような取組をして、このような目標数値をだしたのか?どうやって増やすのだろうか?疑問だらけで伺った豊後高田市でした。
 「学びの21世紀塾」を行っている中で、3つの大きな取り組みとして、
1. いきいき土曜日事業
2. わくわく体験活動事業
3. のびのび放課後活動事業 があります。
このうち「いきいき土曜日事業」によって学力向上を目指しており、いろいろな講座を開いています。
これらが市内いくつもの学校や公民館などを利用して年間を通じて開催しています。
そしてびっくりしたのがどれも受講料は無料です。生活困窮者世帯における学習支援を当然のように行っています。
 今現在岡山県では、岡山市、倉敷市、総社市の3市だけが、無料教室を行っています、週2回のワンツーマンでの教室です。それだけでもいい取り組みをしているなと思っていましたが、豊後高田市の取り組みは、経済格差によって学びの機会が失われることのないようにとの配慮です。また、講師は、現職の学校の先生、移住者の方、または民間の先生方といった、たくさんの市民の方々が積極に関わって協力をしています。この取り組みのレベルの高さが、岡山県とは違いすぎると感じました。

 実に盛りだくさんの取り組みですが、学力向上の一番の要因は、教職員の意識が変わったことが第一と河野教育長はいいました。学級や授業が改善され、きめ細かい指導ができるようになり学校が変わっていきました。塾のサポーターとして入った地域の人たちと教職員が同じ方向に向かっていくことができ、こうして地域ぐるみで子供を育てていくことが、結果として子供たちの学力向上につながっているのではないかとのことです。

 また、河野教育長の講演の中で、あいさつの話がありました。「あいさつをすれば、悪いことをしないじゃないか。」と言われました。あいさつについてこのように考えたことはなかったです。また、本市を訪れた人からも、いろいろな方にお褒めの言葉をいただいているともいわれました。
 頂いた本の中に、「さわやかあいさつ運動」について書かれていました、人と人との最初のコミュニケーションである「あいさつ」は、新しい交流、ふれあいに必要と考え、地域が連携して、市民総ぐるみで取り組んでいる。と書かれていました。また、いろいろ講演を開いていて、「あいさつでつながる教育の町」と題して講演を開いていました、読んでみてもそうですが、講演を聴く参加者の顔を見てもとても楽しそうでした。

 その後、河野教育委員長にお電話にて確認したところ、予算をとって年間5~6回いろいろな方を招いて講演を開いているとのことでした。今回は、「育てられる幸せ」と題して元巨人軍、駒田徳広氏の講演だそうです。
 子どもだけではなく、市民向けや、学校関係者向けといったように取り組んでいるそうです。

 講演をきいて、河野教育長の教育に対する熱意に圧巻されました。いろいろな取り組みの中でよくもこれだけのアイデアを浮かべて、実行に移したものだと感動しました。もちろん初めからすべてを取り入れたものではありません。常に子どものことを第一に考え、子どもたちが積極的にコミュニケーションをとれるようになること、目標や希望をもって学校生活を送れることを目指していました。
 今現在を満足するのではなく、常に新しいことを取り入れ、おごることもなく、恐れることなくチャレンジする姿は何よりすばらしいと思いました。
 玉野市として見習いたい点がたくさんありました。子どもたちのために、企画、実施していきたいと思います。
私としても、今回の豊後高田市の訪問、河野教育長、水田室長との出会いはとても有意義な経験をさせていただきました。

 このような経験をさせていただきました、岡山政経塾、14期生の仲間に感謝します。ありがとうございました。