『住みたい田舎 豊後高田市を訪れて』
岡崎聖也 (岡山政経塾 14期生)
●「昭和の町」
平成13年、犬と猫しか歩かない悲劇の商店街から、 平成24年〜平成27年、住みたい田舎ランキング連続3位の豊後高田市。 なぜここまでに飛躍を遂げることができたのかワクワクしながら向かいました。 驚いたのがご高齢の方の多さと、聞こえてくる音楽の懐かしさです。私は実際にリアルタイムで聞いてはいないのですが、有名なアニメソングや歌 謡曲が流れています。
足早に門を潜るとまずこの平成では中々お目にかかれないものばかりが飛び込んできます。
昭和32年式(営業バスとしては最古)のボンネットバスは、 あまりに古く、修復のための部品が無い為、全て手作りで費用は700万円。 土日祝日は無料運行中なので多くの観光客で賑わっています。
岡山や倉敷の商店街がなぜ閑古鳥がないているのか... そこにしかないもの、そこに行けばワクワクする、そこでしか味わえない空気。 昭和の町にはこういったものが多く存在しているからこそ40万人を超える観 光客が訪れるのだと思います。
只、平成23年をピークに観光客の数が右肩下がり。
更には、未だに職人気質の町人は昭和の街づくりに賛同していない方もいるそうです。
確かに凄く楽しく懐かしく父や母を思い出して心温まる町ではあるとは思いま すが、本州や遠方から来ると考えると中々もう一度足が向くかと言われれば厳 しいと思います。
そこにはきっと、小山事務局長が普段から言われている 目的と手段と期限をはっきりさせる。
これに尽きるのだと思います。
しっかりとした目的があり、いつまでにどれだけの観光客が来れば良いのか。
こういったことがはっきりしていれば、町はより活気付き人が引き寄せられるのではないでしょうか。
私自身に置き換えると、何を目標に何の為に仕事をしているのか、その目標はい つまでに達成するのかが大事なのだと改めて肌で感じることが出来ました。
●「教育の町」
これからの社会は予想がつかない社会。 今後10年~20年先、あらゆる面で機械やロボットが参入して、47%の仕事 が自動化になると米国では言われています。地域づくりは人づくり、教育を切り札として地域活性化を図る豊後高田市。 これからの社会を造り、担っていくのは子ども達です。 そこで始まった「学びの21世紀塾」。
過疎化や少子化が進む中、地方では学習する機会や場が少ない現状があり、地方 (田舎)に住んでいても、都会と同じような学習が出来る様に教育の地域格差をなくしたい。
学力・体力・豊かな心を育むために、多くの「学ぶ」場・機会を設定し、保護者や地域の要望に応えたい。
「将来の夢を描き、その夢を実現できるように努力する」前向きで、真摯な子ども達を育成したい。 教育の町の根幹にあるのはこういった理念だとお聞きしました。
全国学力テストでは、九州トップの大分県のワースト1位だった豊後高田市が、 「学びの21世紀塾」の取り組みにより、今では県内トップに!
市営で無料の塾を開始し、毎月第1、3、5土曜日の午前中に5教科に英会話な ども加えた“土曜日授業”を行ってきました。
地域の方や教職員が指導するのはもちろん、中には留学経験のある主婦や教員免許を持つ会社員もいるそうです。
学校・地域・保護者が連携・協力し市内の約9割の子ども達が通っています。 仕事上、教職員の方と交流がある私が気になったのが、只でさえ通常の学校業務で忙しい先生方が、この“土曜日授業”により不満や不平は出ないのかです。 豊後高田市が本当に素晴らしい点はここにありました。
教職員の不満などは一切と言って良い程ないそうです。
市が“土曜日授業”に参加された先生にはきちんと手当てを支給しているので、 金銭的にも厳しい若い世代の先生方からは「毎月のおこづかいが増えるから助かる」などの意見もお聞きしました。
これが本当のWIN!WIN!の関係なのだと心から感銘を受けました。
●最後に...
私の幼少期時代はもっともっと当たり前の様に、近所付き合いもあり地域で子ども達を育むという流れがあった様に思えます。昨今、近隣の住民同士の挨拶さえも失いつつある世の中です。
将来、自分の子どもを岡山市・倉敷市で是非育てたいと、県外の方たちがうらやむ様な、そんな町造りをする為に、更には地域活性化を担う為にも、岡山政経塾 で今後もよりいっそう精進します。