2015年10月 
 豊後高田市(まちづくり・教育)現地視察

『メッセージ』

岡崎晋典 (岡山政経塾 14期生)

●直島、豊島の現代アート

 アートは人間の思考の内側から生まれてきたもの。その中には、アーティスト(発信者)の中にあるフィーリング・・・その時の感覚、感情、意思、意図、・・・、多くのメッセージが込められています。そのメッセージは、強かったり、弱かったり、形も様々で、分かりにくいものもある。だけど、鑑賞者(受け手側)はそのメッセージを自由に受け取ることができるし、そのまま受け取ることも出来る。
 反対に自然は人間の思考の外側に成り立っている。私達は自然の中にも美を感じ、癒しを感じ、そしてメッセージまで感じることができる。
 日本一美しい瀬戸内海に浮かぶ直島、豊島。そこに存在するアートには、それぞれのアーティストが直島を訪れて感じた思いと、メッセージが全力で込められていた。そして、島の自然と人の生活に違和感なく溶け込んでいました。私は、アーティストは何を感じてこの作品を作ったのだろうかと、見て、触って、中に入って、無意識に思いを馳せていました。楽しい、嬉しい、気持ち良い、また、力強い思いと喜びを感じました。
 アートによって、直島、豊島の魅力が増幅されているように感じました。アートは、アート自身がメッセージと魅力を発するだけではなく、そのアートが溶け込んだその場所の魅力をさらに引き出し、さらにお互いの素晴らしさが磨かれるものだと感じました。

●メッセージ

 直島で、福武先生の講演を拝聴できたことは、私にとって、素晴らしい経験でした。「お前たち、日本はおかしな国だと思わないか?」「生きている目的は?」「何が本当の幸せなんだ?」「後世に、本当に役に立つものを残すことができるのか?」その言葉に、自分の今までの人生と、今後の人生について考えました。 今まで見ていた視点が、いかに低く、狭い範囲だったのだろうと思い知らされました。
 ぶれない信念と大きな志を持って、これからの人生に向き合っていきたいと心に誓いました。
 豊島では、日本国内での自殺、DV、ストーカー殺人、餓死。その多さに驚きを隠せなかった。経済が世界で第二位になった国で、起こっている現実に驚きました。前日の、福武先生の言葉も思い出されました。「・・・おかしな国だ。」 それでも、私はこのおかしな国、日本の恩恵を受け、そして生きている。
 そのおかしな国を象徴する事件が豊島で起きました。私利私欲を追求した人間のために、自然と、人は大きなダメージを負った。豊島の姿に悲しみ、かつての、あのすばらしい姿を思う。それを取り戻すために、命をかけて戦った姿に心を打たれました。
 日本に生まれて、この環境の中に40年以上住んでいる私にとっては、毎日、当たり前のように、3度の食事をいただき、子供達と談笑し、労働で汗を流し、その対価として報酬を得る。友人達と談笑し、酒を酌み交わし、未来を語り、時には学ぶ。こんな生活のできる日本に何の不満があるのか・・・。
 福武先生の言葉にあったように、それは、何が正しいのか、何が公正なのか考える力を失っている日本人の姿そのままでした。
 人生とって、生きることにとって、本当に大切なことは何なのか、本当の幸せとはなんなのか、学ぶことによって、原理と真理を知って、そして、この国を守っていきたいと感じました。

●終わりに

 直島・豊島合宿で過ごした時間は、宝物となりました。
 ダイヤモンドがダイヤモンドでしか磨けないように、人も人でしか磨けないといいます。小山事務局長、福武總一郎先生、また、多くの先輩方と出会い、励まされ、支えていただき、そして、や、同期の仲間たちとともに切磋琢磨しながら、岡山政経塾で共に学ばせて頂いていることは、私の人生にとって、大変貴重な時間だと感じています。自分の可能性を信じて、全力で学びたいと思います。
 皆さんと、岡山政経塾で学ばせて頂いていることに感謝いたします。