『心がふるふる震えた2日間』
藤原行照 (岡山政経塾 14期生)
●はじめに
今回の例会のテーマは、「見る、聞く、体感する。考える力を身につける。発想の転換をする。」でした。岡山政経塾に入塾し、例会でもなかなか全員揃うことができませんが、今回は全員参加ということもあり、同期10名の仲間で初めての宿泊例会に、わくわくして臨みました。
●地中美術館
坂道の歩いていくと、水辺に睡蓮がお出迎えをしてくれました。名前のとおり地中にある美術館です。無機質な門の先には、自然の緑が茂る丘だけが見えてきました。ところが、要塞をイメージさせる細い道(コンクリートの打ちっぱなし)を抜けるとあの丘の下に現代アートスペースが広がっていました。館内の中には、ガイドマップ、窓などがありません。安藤氏のさまざまなこだわり、おもてなしが込められていました。その中でも一番驚いたのは照明が無いことでした。地中にありながら、展示スペースには柔らかい光が立ち込めていました。太陽が動く時間によっていろいろな光があたり、また影ができいろいろな表情が楽しめました。
「睡蓮の池」を鑑賞したとき、入って正面にドカーンと目に飛び込んできました。その自然光で見る作品は、にごった池がたたえる太陽の輝きや、花々の生命が、溢れていました。計算されて建てているとは思いますが、なぜ窓もない部屋に、素晴らしい太陽の光が入ってくるのか、建築に関してあまり知識のない私はただびっくりするだけでした。壁をさわったり、天井を見上げたりして、「ホントにここは美術館?」と思うほどなんとも不思議な光景でした。
その時、その場所で創造された作品からは、とてつもない力、エネルギーを感じました。そして私たちも、1人1人の考えや思いが違うように、1つ1つの作品の見方は、自由です。それが、現代アートだと思いました。
●家プロジェクト
家プロジェクトはそのアーティストだけではなく、住民も参加している。周りに住宅街を歩いた時とても不思議な家々に出会いました。一軒ごとに2つの表札がついていました。それぞれに違う名前が書いてあり最初は、「2世帯住宅かな?」と思っていましたが、隣の家もまた同じように2つ表札がついていました。気になったので歩いているおじいちゃんに聞いてみました。1つは名字でもう1つは近所で呼び合うニックネームである「屋号」なのだそうです。「屋号」という風習があり、ニックネームをわざわざつけて、おもしろいアイデアでもあるし、堅苦しくなく、隣近所は本当に仲が良く、心と心の距離がぎゅっと縮まる、素敵な知恵だと思いました。しかし、島の人たちは作った笑顔ではなく、本当楽しそうに話をしてくれました。我々のような部外者もニコニコした笑顔で迎いいれている様子が心地よく感じ、違和感はまったくありませんでした。良い社会を作るという意味で、大きなヒントになると感じました。
●豊島問題
豊島の不法投棄は香川県の行政怠慢によるところが大きい、住民の意見をしっかり聞いて、法律を守っていれば豊島の悲劇は起こらなかった。そして止めさせるチャンスは何回もあったにもかかわらず、香川県はその産廃業者が怖くて逃げ、人類史上最悪といわれる不法投棄に発展してしまったのである。今の政治も、今できることを一生懸命やっている。なんだかんだ理由をつけて、未来に先送りにしている。しかしゴミは蓄積し、やがて水面上に顔を出す。20年後、30年後いやもっと後に、取り返しのつかない問題となって現実として私たちの前に現れる。負の遺産を未来に残さないためにも今こそ、真剣に考えなければならない。できることを一生懸命やるではなく、やれねばならぬことを一生懸命やらなければならない。
●豊島美術館
バスを降りると、棚田が広がり、瀬戸内海を望む豊島の小高い丘の中腹に、ドーム型の建物が見えている。これが、豊島美術館だ。 何とも言えぬ形状で、履き物のようにも見える。トンネルのような入口から始まる巨体を大地に横たえている。なんだか、生きているようにも感じる。中に入ると、静寂に包まれており、水が穴に入るときのコロコロコロ……という音と、洋服の摺れる音だけが響いていました。あとは、風の動きと、光と水の動きを感じます。
どこにいたのかも忘れ、時間も感じない。見たことも、感じた記憶もありませんが・・・、胎児になって間もない頃の子宮の中が、広く感じるような風景なのかなと感じました。心がとても落ち着き、体が自然の中に溶け込むような感覚になったのか、仲間の一人が、眠りに誘われ、気持ちのよさそうな寝息が響いてきました。
●終わりに
心地よい潮風の中、福武幹事の話を聞きながらバーベキューなど想像もしていませんでした。そして誰が信じるでしょうか?・ぶれない(強い)信念をもつこと。
・志の大きなものを考える。
・金は後からついてくる。
私は全力で、幸せなコミュニティーを作ろうと思います。
小山事務局長が言われた。現代アートとは、「思考のエネルギー」この2日間は、思考が溢れそうになりましたが、私にとって、とても大きな財産となりました。
西美先輩をはじめ、担当例会の剣持さん、岡崎さんありがとうございました。
今回、心がふるふる震える感覚を味わいました。この感覚を何度も味わいたい。近いうちに犬島に行きます。誰か私と一緒にいきませんか?
僕と手をつなぎながら。